桜宮高2自殺 「黙認の連続性断ち切るため」入試中止案 揺れるスポーツ強豪校
産経新聞 2013年1月16日(水)1時34分配信
「問題を黙認してきた過去の連続性を断ち切るために入試を止めるべきだ」−。桜宮高校の男子生徒の自殺が公表されてから1週間となる15日、事態は、橋下徹市長が同校の体育系2科の今年度の入試中止を提言するという急展開を迎えた。市教委側は難色を示し、同校OBの間にも驚きが広がった。
午後8時すぎから開かれた記者会見で、橋下市長は厳しい表情で話した。
「(体罰が確認された)バスケットボール部、バレー部の問題に限らず、受け入れ体制ができていないと判断した」
会見に先立ち、午後4時から開かれた橋下市長と市教委側との非公開会談。会談時間は当初予定の1時間半を大幅に超え、約3時間20分に及んだ。その中で、橋下市長が主張する「入試中止」の是非に、多くの時間が費やされたという。
橋下市長は、バスケ部顧問による体罰が副顧問らに黙認されるなど「常態化」していたことや、顧問が関与する形で、部員が学校に無届けで共同生活を送っていたことを問題点としてあげ、「校長、教員、学校全体がクラブで勝つことを第一にして歯止めがかからなかった」と厳しく批判。
隣に座る長谷川恵一委員長は「(入試中止は)すぐには受け入れがたい」、永井哲郎教育長も「決めるのは市長ではなく、教育委員会だ」と不快感を示したが、市長は「受験の混乱を避けるために入試をやるなんてあってはならない」と主張した。
同校のOBは、橋下市長の提案について「生徒は体育科に入るため1年間、スポーツ、勉強の両方を頑張ってきた。入試が中止になったら、かわいそうだ」と批判。一方、スポーツ評論家の玉木正之さんは「今回の自殺で体育科の在り方が間違っていたことが分かった。新しい指導の方向性が見いだせない中では、やむを得ない対応だ」と一定の評価を示した。