<駆け込み退職>4県で教職員172人…文科省全国調査

<駆け込み退職>4県で教職員172人…文科省全国調査
毎日新聞 2013年1月25日(金)22時52分配信

 文部科学省は25日、退職手当の引き下げ前に退職する教職員の「駆け込み退職」について、調査結果を発表した。4県で計172人が既に退職したか、または退職を希望し、うち4人が教頭、40人が学級担任だった。最多は埼玉県の123人だった。文科省は同日、退職後の代替教員の確保や児童生徒、保護者への説明など、学校運営に混乱を及ぼさないよう求める文書を、都道府県教委に出した。【苅田伸宏、福田隆】

 同省によると、改正退職手当条例の施行で、駆け込み退職の可能性があるのは10都県。既に改正条例が施行され、退職したのは佐賀県(36人)▽徳島県(12人)▽熊本県(1人)。退職予定は2月1日に施行される埼玉県(123人)だけだった。職種別では、教員が140人で、内訳は教頭4人▽教諭126人▽養護、栄養教諭10人。残りの32人は事務職員など。

 この問題は22日、埼玉県内で教員ら100人以上が、退職手当引き下げ直前の1月末に退職を希望していることが判明。卒業式などがある学年末の重要な時期に担任が代わるなど、問題を指摘する声が相次いだ。下村博文文科相が「(駆け込み退職を)思いとどまっていただきたい」と撤回を求めている。

 ◇東京都は条例で縛り

 最初に退職手当の引き下げを決めたのは国家公務員だ。官民格差の是正を目的に、昨年11月に法律が成立。引き下げは1月1日からで、段階を経て来年7月から約15%(約400万円)減になる。

 総務省は全国の自治体に国と同様の引き下げを求めたが「自治体が条例で定めるので時期は求めにくい」(自治行政局)と実施時期の要請はしなかった。

 改正条例を2月1日に施行する埼玉県は、3月末まで勤務した場合の退職手当と月給の合計より、1月末で退職した場合の退職手当の方が金額が高いことが退職希望者が多く出た理由とされる。

 1月1日から退職金を引き下げた東京都では、教職員らの「駆け込み退職」は起きなかった。都職員は84年施行の条例で、60歳を過ぎた最初の年度末まで働くと「定年退職」、その前に辞めると「自主退職」になると定めている。両者は退職金の支給額が異なり、35年以上勤務した場合の差額は給与の約9カ月分。今回の引き下げで、今年度の退職金は約80万円減額されたが、それを差し引いても定年まで勤め上げた方が受け取れる額は多くなる計算だ。都人事部は「条例は団塊世代が年度途中に大量退職するのを防ぐ趣旨があったと思われる」と話している。【石丸整、清水健二】

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