日教組教研集会、閉幕 脱原発、慰安婦 「政治的授業」今年も報告
産経新聞 2013年1月29日(火)7時55分配信
佐賀県で行われていた日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会(教研集会)は28日、3日間の日程を終えて閉幕した。今年も「脱原発」や「慰安婦」などについて、日教組のイデオロギーを一方的に押し付けようとする「政治的な授業」が報告された。
福島県の小学校の男性教諭は「小学校社会科教育における脱原発教育の実践」と、表題に堂々と「脱原発教育」と掲げて授業リポートを披露した。
教諭は「『原発は是か非か』という問題の立て方ではなく、『水力・火力・原子力を組み合わせたベストミックスは是か非か』という立て方で、間接的に脱原発を考えられるように仕組んだ」と、その手法を説明した。
「原子力は安く、少ない燃料でたくさんの電気を作り続けることができるので、ベストミックスの中心」と説明した上で、東京電力福島第1原発の建屋が爆発した写真を掲載。放射能による発がんの危険性や風評被害を強調し、「危険を覚悟で原子力を含めたベストミックスを続けるべきか」「別の道を探すべきか」と子供たちに問いかけた。
結果は「継続」が10人、「別の道」が11人で二分され、討論後に再度尋ねたが変化はなかったといい、教諭は「体験や作業を入れれば、もっと意見の変更があったかも」と報告した。
一方、日本による朝鮮半島統治時代の慰安婦について、日本政府の見解に反する主張を展開するリポートもみられた。
日本政府は平成19年に慰安婦について、「いわゆる強制連行を直接示す資料はない」とする答弁書を閣議決定し、文部科学省の教科書検定でも軍や官憲による強制があったとする記述は認められていない。
埼玉県の中学の男性教諭は平和教育分科会で「日本軍『慰安婦』は過激な教材か」と問題提起。新聞投稿を根拠に「日本軍の隠滅工作」により強制連行の証拠がないと主張した。
教諭は「今の若い教員たちは中立という言葉を使い、『慰安婦は否定されているから駄目だ』ということで授業でやらない。それでいいのか」と訴えた。
教育評論家の石井昌浩氏は「脱原発ありきの原理主義が貫かれ、日教組のイデオロギーを何も知らない子供たちに押し付けるもので極めて不適切。慰安婦も同様で、教育ではなく政治運動だ」と指摘している。