海老名中学いじめ訴訟:元同級生らと和解 市、400万円支払いへ/神奈川
カナロコ 2013年3月30日(土)4時0分配信
海老名市立海老名中学校に在学中、同級生からのいじめが原因でストレス障害を発症し、転校を余儀なくされたとして、元生徒の少年(17)と両親が、元同級生9人と保護者、市などに慰謝料など約800万円の損害賠償を求めた訴訟は29日、横浜地裁で和解が成立した。市が和解金400万円支払い、いじめ問題への取り組みを強化することなどの地裁の和解勧告を、被告側が受け入れた。
少年は、生まれつき両手足の運動障害や軽い言語障害がある。訴えによると、少年は中学に入学した2008年4月以降、同級生から歩き方や話し方をからかわれるようになり、09年5月、学校行事を前に一部の生徒が少年へのいじめを話し合ったことなどからストレス障害を発症し、登校できなくなった。少年は同10月に転校した。
原告代理人らによると、和解条項は、(1)市と元同級生、保護者らは、少年に対し、障害の特性をとらえた耐えがたい出来事が生じたことを認め、重く受け止める(2)市は和解金400万円を支払う(3)元同級生と保護者らは、少年が現在も深い心の傷を抱えていることを理解する(4)市はいじめ問題への取り組みを強化し、いじめを許さない学校づくりを誠実に実現することを確約する−など。いじめの有無には触れていないが、市教育委員会はいじめが一部あったことは認めている。
市教委は「いじめ問題への教育方針を誠実に果たしていく」とコメントした。
■「心的外傷 苦しみ今も」
和解成立後、記者会見に応じた父親は「事実が認められてよかった」と話す一方で、「息子はいじめを受けたことで、今も心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいる」と複雑な表情を浮かべた。
少年は出生して間もなく脳性まひと診断され、軽い言語障害や運動障害がある。素早い動きが苦手で、転倒しやすく、長距離移動の際は車いすを使うこともあったという。
父親によると、少年は同級生からのいじめへの恐怖から登校できなくなり、2年生だった2009年10月に転校、自宅も引っ越した。少年は県内の学校に通っているが、時折当時の記憶がよみがえってパニックになったり、「この先どこに行ってもまたいじめられるのでは」と不安に駆られたりするという。
海老名市教育委員会はいじめがあったことを認め、新たに策定した教育方針で「いじめの兆候をいち早く把握し、迅速に対応する必要があり、絶えず実態把握に努める」としている。
「確実に実行してもらうことを願う」。心に傷を負った息子の思いを代弁するように、父親は言った。