<長崎・体罰問題>市教委が体罰「過小報告」 保護者が指摘

<長崎・体罰問題>市教委が体罰「過小報告」 保護者が指摘
毎日新聞 2013年4月2日(火)19時54分配信

 長崎市立中学の野球部顧問の男性教諭(27)からの体罰で一時不登校になった男子生徒(2年)の保護者が、情報公開請求で市教委の文書を入手し「体罰を『過小報告』している」と指摘した。これを受け、市教委が中学に再調査を指示し、県教委に対しても教諭の処分を保留するよう求めたことが2日、分かった。保護者は「加害教諭らの主張をうのみにした」と批判している。

 被害生徒らの記録によると、教諭は昨年12月に部活動中、捕球できなかった生徒の両太ももをバットで何回もたたき、黒いあざができた。別の日にも被害生徒ら複数の生徒の頭をバットで殴打。さらに、被害生徒が足の疲労骨折との診断を受けて報告すると「心の問題。お前の心が複雑骨折だ」と発言した。

 保護者は昨年12月、市教委に文書で申告。被害生徒は教諭への恐怖から約1カ月、登校できず「何十回も死にたいと思った」などと話していたという。

 公開された文書は市教委が県教委に提出したもので、学校が作成したてん末書。太ももをたたいた体罰を「1回こつんと軽くたたいた」とするなど、生徒の主張より弱めていた。「心の複雑骨折だ」の発言は「気持ちを強くもつようにと伝えた」などと表現。肩をわしづかみに揺さぶった体罰は記載すらしていなかった。

 取材に対し、市教委は「生徒が不登校になって本人から話が聞けず、加害教諭や校長、他の部員からの聞き取りを基に報告したが、詰めが甘かった」と釈明。3月23日に初めて生徒本人から事情を聴き、てん末書に記載していなかった体罰も聞き取った。

 市教委は学校側に指示した再調査で、生徒と教諭の主張に食い違いがある場合は、両論併記するよう指示した。再調査の結果は臨時教育委員会を開いて報告する。この教諭を巡っては昨年5〜11月、別の生徒5人への体罰も把握しているという。【樋口岳大】

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