調布市立小・女性教諭の暴言 「いじめ助長」市教委認める

調布市立小・女性教諭の暴言 「いじめ助長」市教委認める
産経新聞 2013年5月3日(金)7時55分配信

 東京都調布市立小学校の50代の女性教諭の発言をめぐり、「暴言」と報じた4月19日の本紙記事について、読者から「暴言とは思えない」「この程度は許容範囲」といった意見が寄せられた。改めて取材すると、小学2年生の児童に対していじめを助長しかねないと市教育委員会が判断するほどの「言葉の暴力」が繰り返されていた実態が浮かび上がってきた。

 記事では、教諭の呼びかけに返事をしなかった児童に「動物じゃないんだから、ちゃんと返事をしなさい」との発言や、給食の際に「少なくして。いつも残して迷惑だから。みんなもそう思うよね」と言ってクラスの児童に同意を求めた様子を掲載した。

 当時の様子が録音されたICレコーダーを調査した調布市教育委員会によると、教諭が「動物じゃないんだから−」と発言したのは、昨年10月24日朝の授業が始まる直前だった。担任をしていた教室内で、1人の児童が教諭の質問に対する返答に窮している場面。

 教諭「1個だけ(もらったん)だっけ? 2個、もらったんだよね」

 児童「…」

 教諭「人と人なんだから、言葉で返そう」

 児童「…」

 教諭「動物じゃないんだから−」

 しかし、その後も答えられずに黙ったままの児童に教諭は「答えないと授業が始まらないよ」と発言。さらに「みんなも言っていいよ」とほかの児童に呼びかけており、ほかの児童が一斉に「早く答えないと授業が始まらないよ」と口にしていた。

 ICレコーダーは、落ち着きを失ってイライラするようになった子供の異変に気づいた保護者が、子供に持たせてひそかに録音させたものだった。収録されていたのは同日〜11月12日の間の計5日25時間分。

 抑揚のない冷たいトーンやヒステリックな甲高い声で、このケースと同様に、1人の児童を追い込む発言や人格まで否定するような表現が繰り返されていた。

 例えば、忘れ物をした児童に挙手を求めた上で「ああ、いつもダメな人たちね。ダメな人生っていいかげんにやめようと思いません?」と発言。授業内容を理解できていないと思われる複数の児童らを「なんて人としてのレベルが低い子供たちだろうと思います」と突き放した。

 別の機会には1人の児童を集中攻撃。「先生、すごく丁寧に説明しているのに聞き逃しているのはどういう脳みそ? 不思議な脳みそだよね」と問いかけ、児童にヒントを与えるどころか、「どっち見てるの? こっち見るんだよ」と言い放った。このほか「ばか」「ぼけ」と罵倒するような表現を使うこともあった。

 市教委は教諭の指導は不適切と判断、1年間の研修を命じた。教諭も市教委の調査に「ふさわしくなかった」と話している。市教委は「みんなに同調を求め、教員自らがいじめの土壌作りを促進するような行為もあった。すこぶる適切ではない指導だった」としている。ただ、保護者からは処分の甘さを指摘する声が上がっている。

 この学校では日々、校長や副校長らが見回りをしていたが、保護者からの訴えがあるまで問題を見抜くことはできなかった。同校では今後、管理職に加え、全教諭が児童に目を配れる態勢を整える。

 教育評論家で元東京都国立市教育長の石井昌浩氏は「子供に対して大人にしか通じない皮肉の形で言うのは、教育的配慮に著しく欠ける。人格の否定や人生を決めつけてしまう言葉の暴力は、身体的な暴力と同じで精神的なトラウマになり、将来に影響する。学校は校長が中心となって教育的管理態勢を整えるべきだ」と話している。

【用語解説】調布市立小教諭の暴言問題

 昨年11月に保護者が学校に訴え、発覚。教諭は担任から外されたが、都教委は「懲戒処分には当たらない」と判断、今年4月から1年間の研修を受けさせる措置が決定した。教諭は研修の成果次第で再び教壇に立つ可能性があり、保護者らが反対している。

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