<不正論文>三重大が准教授を懲戒解雇…データを改ざん
毎日新聞 2013年5月10日(金)23時57分配信
三重大(津市)と名古屋大(名古屋市)は10日、三重大大学院生物資源学研究科の青木直人准教授(47)が科学誌へ投稿した論文11本に、改ざんしたデータ計69点を使用していたと発表した。三重大は9日付で懲戒解雇した。
両大によると、青木准教授は1996〜2010年度に発表した論文11本で、実際には行っていない実験を行ったように見せるため、別の実験結果を改ざんして使用。1枚の画像を反転させるなどし、複数の実験を行ったよう装った。青木准教授は名大院助手を経て、三重大院に赴任。分子生物学、食品機能化学などが専門で、11本のうち9本は名大院所属時に発表した。
三重大は11年2月、論文に不正があるとの告発を受け、調査専門委員会を設置。実験ノートや画像データを調べ、関係者から聞き取りを行った結果、不正があったと認定した。青木准教授は「誤って載せた」などと、故意の改ざんを否定しているという。
青木准教授は、文部科学省などから9件計5357万円の公的研究資金を受け、うち6件の研究で執筆した論文に不正があった。返還について両大は「指導に基づき、適切に対応する」としている。
三重大の吉岡基(もとい)理事は記者会見で「画像などのデータは通常、間違いや不正はないという前提で研究を進めるため、発覚しにくかった」と説明。再発防止のため両大は、教職員の研修や、実験データ、記録の保存を各研究室が責任を持って行うよう指導する。【大野友嘉子】