柔道部で上級生が暴行、学校にも賠償命じる判決

柔道部で上級生が暴行、学校にも賠償命じる判決
TBS系(JNN) 2013年10月30日(水)18時18分配信

 高校の柔道部の練習後に上級生から暴行を受け、退学せざるをえなくなったとして元生徒が損害賠償を求めた裁判で、千葉地裁は暴行した生徒だけでなく学校側の管理責任も認め賠償を命じました。

 「一歩間違えれば、鉄の棒なので・・・」(木村功一さん)

 こう話すのは、千葉県酒々井町の東京学館高校に通っていた、木村功一さん(20)です。小学4年から柔道を始め、中学時代には千葉県の大会でベスト16に入るなど、成績を残しました。そして、“特待生”として東京学館に入学。柔道部に入部してまもなく、“事件”は起きました。

 「掃除中に2年生の上級生の先輩が道場に入ってきて、そのときに初めて集団で暴行を・・・」(木村功一さん)

 柔道部の練習後、顧問がいなくなってから上級生が1年生に対し、筋力トレーニングを始めました。彼らが「連帯」と呼ぶこの筋トレ。できなかった木村さんに対し、上級生が重さ15キロの鉄製の棒で頭をたたいたり、殴る蹴るの暴行を加えたりしたのです。

 「謝っても、ひたすら殴ったり、蹴ったりという感じが続いた」(木村功一さん)
 「頭ぼこぼこ。おでこの上と目の下とすごく腫れていて血が流れている」(功一さんの母親)

 木村さんはその後不登校となり、退学せざるをえなくなりました。“事件”から5年半が過ぎた今も、精神的に不安定なことから通院を続け、職に就けない状態が続いています。

 木村さんは、学校側と元上級生5人を相手取り損害賠償を求める訴えを起こしました。30日の判決で千葉地裁は、「暴行は一方的かつ執拗なもので、上級生の指導として相当な範囲にとどまるとみる余地はない」と指摘。「連帯」と称する筋トレについても、「社会的に許容された範囲を逸脱し違法」と認定しました。

 さらに、学校側に対しても「注意義務に違反した」と認め、学校側と上級生5人に対して242万円の損害賠償の支払いを命じました。

 「生徒だけじゃなくて顧問の責任があるのだと、きちんと(判決が)認めたことは評価している。(柔道界の)殴る蹴るしてもやむをえない、全員でやってるという体質、それに一石を投ずる判決」(功一さんの代理人)

 判決に対して学校側は、「コメントは差し控えたい」としています。(30日16:02)

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