過労で正常な運転ができないおそれを認識しながら、従業員に大型トレーラーを運転させたとして、兵庫県警西宮署は20日、神戸市灘区にある運送会社の取締役の男(70)を道路交通法違反(過労運転の下命、容認)容疑で逮捕し、発表した。「運転できないと分かって運転を命じてはいない」と容疑を否認しているという。 署によると、会社の運行管理者だった取締役は昨年9月20日、従業員の男性(74)が十分な休息を与えられず正常な運転ができない可能性があると知りながら、西宮市大畑町の国道171号で大型トレーラーを運転させたというもの。 男性が信号待ちをしている間に運転席で眠ってしまい、目撃者が不審に思い110番通報した。 署がこの運送会社から運行記録などを押収して男性の過去1カ月の就労時間を調べたところ、国の基準の上限を約30時間上回っていたという。過労運転のあった日は、前日から24時間の勤務が確認された。 長時間労働をめぐっては、2019年に労働基準法が改正され、残業時間の上限規制が罰則つきで設けられた。 バスやタクシー、トラックの運転手については24年4月から規制が始まった。(小田健司)