うその上塗りが事件を引き起こした。保険会社で勤務していた福岡県内の40代の女性被告。売り上げが足りなかったため、架空の契約をつくって賄っていた。その帳尻合わせに迫られ、新しい口座が必要になった。偽造の運転免許証を交流サイト(SNS)で注文し、口座開設を申し込んで逮捕される事態に陥った。 保険料は自分で支払い続けた。数年続けた契約を解約しようとした際、払戻金の受け取りとして架空の契約者の口座が必要となった。どうすることもできないものの「会社に正直に言い出す勇気がなかった」。実在しない名義人の口座をつくるため、免許証を偽造して用意しようと思い立った。SNSで引き受け手を探し、知らない人物に作成を依頼した。 3万円を支払うと自宅に偽造免許証が届いた。佐賀県内の金融機関の窓口で提示したが、職員に見抜かれて偽造有印公文書行使容疑で逮捕された。「契約をとるプレッシャーを感じていた。あの時やめておけばよかった」。法廷では後悔を口にした。ねつ造した契約で身銭を切って売り上げをつくったが、事件を受けて解雇されている。(佐賀地裁判決=懲役2年、執行猶予4年)