訪日外国人向けに売春場所の提供をしたとして警視庁保安課は2月4日、新宿区歌舞伎町の風俗店『SPARAKU』など2店舗の経営者ら7人を売春防止法違反容疑で逮捕した。インバウンド客を対象にした違法性風俗店の摘発は全国で初めて。 今回摘発された店は客の7~8割が外国人。支払いに対応するためにドル、ユーロといった主要通貨のほか、インド、スイス、メキシコ、中国、トルコ、カタールなど16ヵ国・地域の通貨を用意していたという。店内で一体、何が行われていたのか。 ◆“歌舞伎町式”と呼ばれるシステム SPARAKUは“歌舞伎町式”と呼ばれるタイプの風俗店で、新宿の区役所通りに面しているビルの一室にあった。HPではメンズエステと紹介されているものの、実態は本番行為ができる一発屋(ちょんの間とも呼ばれる)だったようだ。働いていた女性は逮捕された経営者の男性が直接スカウトすることもあり、トー横や大久保公園周辺の立ちんぼに「外だと寒いし、うちで働かない?」「取り分は安いけど店内にいる間なら何をしてもいいから」と声を掛けていたという。 店の扉を開けると、店番の男性が「今遊べる女の子です」と女性が映っているパネルを提示。その中から女性を選ぶシステムになっている。パネルで女性を選ぶシステムが珍しかったことから“歌舞伎町式”という呼び名がついたという。 出勤している女性が好みでなければ退出をしてもよく、料金は1万円で本番アリのコース、6000円でヘルスコース。どちらもプレイ時間は40分だったという。料金だけを見れば、いずれのコースも一般的な性風俗店より安価だ。 ただ、外国人客が多かった“理由”は安さ以外にもあった。 ◆どんな客でも受け入れてくれる 「歌舞伎町に多くいる黒人のキャッチたちが、外国人相手にこの店を紹介している」と話すのは歌舞伎町で長年キャッチをしているJ氏だ。 「SPARAKUは少し前まで、俺たちみたいな外販(キャッチ)に連れてきてもらわないと入れない店でした。今でもほとんどが外販の紹介からで、店に直接行く客は見たことがありません。 インバウンドで歌舞伎町が盛り上がるようになると、黒人のキャッチが外国人の客を連れてくるようになりました。歌舞伎町でSPARAKUは“どんな客でも受け入れてくれるヌキアリの店”として重宝されていました」 日本の風俗店には外国人の入店を禁止している店があり、若い日本の女性と遊ぶ方法が限られているのだ。 「夜遅くまでやっているのもありがたかった。ソープは基本的に深夜0時には閉まりますが、SPARAKUの営業時間は夕方6時から翌朝6時までと長かった。夜なら基本、いつでも営業していたので外販も案内しやすい。性風俗店はキャバクラやガールズバーと違い、酔客の入店を禁止しているところが多いのですが、ここはルールが緩く、酔っぱらっていても入れました」(同前) 営業時間が長く、禁止事項も緩い。それ以外にも、キャッチが多くの外国人をこの店に送り込んでいた理由があるという。 ◆10万円で紹介して9万円を受け取る 「ここは外販がいくら料金を上乗せしてもいいんです。店側は1万円しか取らない。僕らがお客さんを紹介するときは1万2000円と言ってお客さんを引っ張って、2000円をキックバックしてもらっていました。しかし黒人たちはこのシステムを使って、10万円で紹介して9万円を受け取っていたんです。 摘発されたときに大量の外貨が出てきたのは、外販が吹っ掛けた料金を手持ちの日本円で払えないケースがあるから。両替で店外に出してしまうとそのお客さんはまず戻ってこないので、足りない分を外貨で払わせて素早く店内に案内していたんです。 もしかすると今回の摘発は、高すぎる紹介料に〝ボッタくられた〟と怒った人たちが通報したのかもしれません。しかし、店側はどんなに客を入れても1万円のうち8000円が女性の稼ぎで2000円しか入ってこない。1日に30人入れて365日営業していても、荒稼ぎしているようにはみえませんでした」(J氏) SPARAKUを実際に利用していたという外国人客にも話を聞くことができた。タイ人のBさんは自国の性風俗店と比べて「安心できる店」と言い、店員の優しさも違うと話す。 「日本の風俗は安心感があります。部屋に入ってから『追加料金を支払え』なんて言ってきません。性病のリスクもタイより低いと思います。何より店員が優しく、スマホを使って翻訳し、丁寧にサービスについて説明してくれました。日本人は風俗店でも親切ですね」(Bさん) インバウンドで盛り上がる日本。風俗業界もインバウンド向けにあの手この手でアピールしているが、その陰でSPARAKUのような違法店が盛況となっていた。今後も摘発が続くことになりそうだ。 取材・文・撮影:白紙緑