【AFP=時事】パキスタンで、トラブル解決のため12歳の娘の強制結婚をジルガと呼ばれる村の長老会議に命じられた父親が自殺した。警察が11日、明らかにした。 この出来事は、父親のアディルさん(姓はなく名のみ)の音声記録が今週SNSに投稿されたことがきっかけで発覚した。アディルさんは音声記録の中で、ジルガによって娘の結婚に合意するよう強制されたと語っている。 地元警察のハリド・ジャベド・カーン氏は、「アディルさんは12歳の娘が引き渡されるのを防ぐため、毒を飲んで自ら命を絶った」「ジルガの裁定を受け入れるくらいなら死んだ方がましだと明言していた」と述べた。 警察は、カイバル・パクトゥンクワ(旧北西辺境)州の辺境デライスマイルカーンのジルガ構成員の男3人を逮捕した。 別の警察官、サヒブザダ・サジャド氏によると、結婚式に参列した若い女性が、アディルさんのおいに性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)を受けたと告発し、ジルガが招集された。 ジルガに60万パキスタン・ルピー(約32万円)の罰金を科されたおいは、この制裁金を支払った。だが、問題が起きた現場がアディルさんの自宅だったことから、アディルさんも責任を問われた。 カーン氏は「ジルガはアディルさんに対し、償いとして、娘を引き渡さなければならないと裁定した」「娘は、性的嫌がらせを受けた女性の兄弟と強制的に結婚させられることになっていた」と語った。 アディルさんには6人の娘がいるが「今のところ無事」だという。 パキスタンの地方部ではジルガで地域社会のトラブルを解決するのが一般的で、現代的な司法制度と並行して合法的に運営されている。 問題解決のために女性や少女を差し出すことは法律で禁止されているが、今なお日常的に行われている。 ジルガによる最も厳しい刑罰は家族の名誉を守るためのもので、性的暴行や強制結婚なども含まれている。【翻訳編集】 AFPBB News