交番襲撃の際に奪われた拳銃で死亡…遺族が損害賠償求めた裁判で当時の警察官「住民への警告不可能だった」

2018年の奥田交番襲撃事件で殺害された警備員の遺族が県に損害賠償を求めた民事訴訟が3年ぶりに開かれました。 争点は県警の初動対応で、証言台に立った当時の警察官は「正確な情報がなく、住民への警告は不可能だった」と初動対応の不備を否定しました。 訴えを起こしているのは、7年前の事件で、拳銃で撃たれ死亡した警備員中村信一さんの妻です。 この事件は2018年6月富山市の奥田交番に元自衛官の島津慧大被告(当時21)が押し入り、持っていたナイフで当時警部補だった稲泉健一さん(当時46)を殺害。 その後奪った拳銃で、近くの小学校で警備をしていた中村信一さん(当時68)を射殺したとされています。 中村さんの妻は、「島津被告が拳銃を持って逃走している可能性を県警が認識し、パトカーで警告音を鳴らして巡回などをしていれば、夫の命が奪われることはなかった」と主張。 県警の職務執行に重大な落ち度があったとして、県に損害賠償を求めています。 これに対し県は、通報段階では住民に差し迫った危険があるとは認識できなかったとして請求棄却を求めています。 12日、およそ3年ぶりに開かれた弁論では初めて証人尋問が行われ、当時、事件に対応した警察官2人が証言台に立ちました。 県警の通信指令課で現場から通報を受けた警察官(当時)は、「犯人の人相、逃走方法、臨場している警察官の体制などの情報がなかなか入ってこなかった」と証言。 通報段階では、パトカーでの警告を指示するほどの正確な情報はなかったと主張しました。 これに原告側は「犯人が拳銃を持っている可能性があったとの情報は、通報した交番の相談員から通信指令室に届いていたはず」と指摘すると、「音声の通報だけでは確度が高いとは言えない。”臨場した警察官”からの情報がなく、事実かわからなかった」と述べました。 さらに、通報を受け現場に向かった富山中央警察署の刑事第一課長(当時)は、「奥田交番で刃物を持った男が暴れているという内容しかわからなかった。拳銃でうたれたという無線の音は聞いていたが、情報が錯綜し、犯人の目的や逃走経路がわからなかったため、実効性のある警告は不可能」と主張しました。 裁判のあと、会見を開いた中村さんの妻は…。 中村信一さんの妻 「やはり市民の安全確保より犯人の逮捕が優先されていたのをありありと感じたのが印象。やはり主人は守ってもらってなかったんだな。」 遺族代理人 清水勉弁護士 「通信指令業務の重要性について警察のなかでの認識と我々市民の認識が全く違うということを強く感じた」 次回の弁論は6月に開かれる予定です。 県警の責任を追及する裁判が大きく動き始めました。 裁判の争点はー。 およそ18分間の県警の初動対応に問題がなかったかです。 この18分は、交番の襲撃から通信指令課に通報が入り、その後警備員の中村さんが小学校で撃たれるまでの時間です。 中村さんの妻は「この間にパトカーで警告音を鳴らし巡回などをしていれば、夫の命が奪われることはなかった」と訴えています。 これに、県警側は「通報内容だけでは、住民に注意を呼びかけなければいけない状況とは判断できず、職務執行に落ち度はない」と請求棄却を求めています。 12日の弁論はおよそ3年ぶりとなりました。 証人や証拠の整理などに時間がかかりました。遺族側はきょう出廷した2人以外の警察官にも尋問するよう求めていましたが、これは認められませんでした。 この事件を巡っては民事訴訟とは別に、刑事裁判も開かれています。 強盗殺人などの罪に問われている島津被告の刑事裁判です。 殺人と窃盗の罪が成立し、無期懲役とした一審判決に対し、名古屋高等裁判所金沢支部は、より罪の重い強盗殺人罪の適用を前提に量刑を判断すべきとして、裁判のやり直しを命じました。 最高裁もこれを支持し、富山地裁で再度裁判員裁判が開かれることが決まっています。 しかし、裁判の日程はこの3年間決まっておらず、検察の関係者は、裁判が開かれるのはまだ先だろうと話しています。

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