特殊詐欺の闇バイト実行犯の証言 沖縄

県内で発生した事件事故・身近な社会問題を特集する真相フカボリです。応募者が犯罪に加担してしまう「闇バイト」が全国的に問題となっています。県内でも「闇バイト」に応募して犯行に及んだとみられる若者が、特殊詐欺の実行役として逮捕されるケースが確認されています。今回、QABでは実行役として県内で逮捕された男性が記者の面会に応じ、犯行に至った経緯を語りました。 「考えなしに軽率な行動をして後悔している」 拘置所の面会室で記者に語ったのは、特殊詐欺の「出し子」として逮捕された30代の男性です。 なぜ犯罪に関わってしまったのか?男性が初めて接触したのは数年前のことです。インターネットで「高額の仕事を紹介する」という書き込みを見つけ、軽い気持ちで電話番号と名前を送りました。すぐに「キムラ」という人物から電話があり、誘いをうけましたが そのときは断ったといいます。 しかし 男性は仕事を辞めたことをきっかけに、生活が苦しくなっていきます。生活費や自身の進学費用のために金融機関などから200万円の借金があり、返済に追われていた去年10月に再び木村から電話がかかってきました。 キムラ「高額の仕事があります。借金の回収の手伝いです」男性「危ない仕事ではないですか?」キムラ「大丈夫です」 その言葉を信じた男性が仕事を受けると話すと 匿名性の高いメッセージアプリに誘導され、具体的な仕事内容は知らされないまま、「キムラ」から白いシャツと黒いズボンで南風原町に向かうようにいわれました。 町内に入ってしばらくすると、「キンジョウ」という人物からキャッシュカードを受け取るよう指示を受けます。指定された場所で待っていると自分と似た格好の若い男が現れてカードを3枚渡し、暗証番号を教えてきました。するとすぐに「キムラ」から、、、 キムラ「いま受け取ったと思うんですがすぐにコンビニで現金をおろしてください」「その時にはマスク・サングラス・帽子をしてください」「もう準備できましたか?」 息つく暇もないほど矢継ぎ早に指示を出す「キムラ」に、 男性は少し怪しいと感じつつも従いました。コンビニを3軒まわり300万円を引き出し、指定された時間に回収場所として指定された公園にすべて置いて帰ったといいます。 そして男性は翌日、同じようにキムラに言われた場所に向かっているところを警察に発見され、窃盗の容疑で逮捕されました。警察から自分が現金を引き出したキャッシュカードは、「高額医療の還付金がある」と電話を受けた高齢の被害者から騙し取られたものだと知らされました。 逮捕から5カ月後、男性は裁判所から「懲役2年」の実刑判決を言い渡されました。男性に残ったのは元々の借金と被害者への被害弁償300万円。 拘置所のなかで男性は、ずっと後悔していると話しました。 男性「詐欺や闇バイトについての知識があったり、周りに相談したりしていれば変わっていたのかも知れない。ただ 犯罪行為をしてしまったのは自分。本当に申し訳ない」 ここからは取材をした濱元記者です。実際に今回 出し子をしたという人物に面会してどのような印象を持ちましたか? 記者「「出し子」をしていた男性に前科前歴はなく、面会したときも 私と年が近いどこにでもいる「普通の人」に見えました。質問にも真摯に答えてくれ、被害者に対して「本当に申し訳ないことをした」と何度も繰り返し、そして 家族と恋人に迷惑をかけていることをとても後悔している様子でした。引き出した300万円について「引き受けた仕事で持ち逃げしようとは全く思わなかった」と言っていたのも印象に残っていて真面目な性格という感じがしました」 そんな男性がなぜ特殊詐欺の「出し子」という犯罪行為に手を染めてしまったのでしょうか? 記者「本人はニュース番組や新聞をほとんど見ておらず、「闇バイト」という言葉も知らなかったと話してました。犯行当時は 借金返済に追われて就職活動もうまくいかず、将来に不安を感じていた時に指示役のキムラと名乗る人物から電話で連絡があり、高額な報酬につられて「借金回収の手伝いで安全なバイト」という言葉を信じてしまったということです。また 仕事内容が直前にしか伝えられず、犯行時は電話でずっとせかされて自分のしていることについて考えることができなかったと話していました」 実刑2年という判決はかなり重いものですよね。 記者「那覇地裁は、男性がキャッシュカードが騙し取られたものとは認識していなかったとした一方で、引出し権限がないのに現金を引き出して盗む事案だと未必的に認識しながらも犯行に及んだと指摘。そのうえで犯罪を完遂するために男性の犯行が必要不可欠で被害弁償もできていないなどとして「懲役2年」を言い渡しました」 知らなかったではすまされないということですね。 記者「県警によりますと闇バイトとみられる犯罪は県内でもこれまでに数件確認されています。今回のケースではありませんが、全国では闇バイトに関わったことで個人情報を犯罪グループに知られてしまい、「家族などに危害を加える」と脅されて抜け出せなくなるケースもあります。県警の担当者は安易に関わらないよう注意を呼びかけています」 県警 島袋貴男警視「犯罪実行者が警察に逮捕されれば"トカゲの尻尾"のように切り捨てられることになる。犯罪グループは犯罪実行者を"捨て駒"としか考えておらず、決して守ることはありません」「犯罪によって被害者やその家族に一生消えることのない深い傷を与えるばかりでなく、自分や自分の家族の人生をも台無しにする行為だということを肝に命じてもらいたい」 記者「県警は闇バイトに関わらないためには実態を知ることが重要としています。担当者は特徴として①報酬が異常に高く設定されていて「高額報酬」「安全で簡単な仕事」「ホワイト案件」などと興味を引くような内容になっている②仕事内容や募集事業所の住所や連絡先などの情報が記載されていない③応募者とのやり取りは匿名性の高いアプリに誘導するという点をあげています」 こういった内容であれば闇バイトをだと疑うべきですね。 記者「県警は闇バイトに気づいたら取り返しのつかなくなる前に、警察本部や各警察署に相談してほしいと呼びかけています」 県警 島袋貴男警視「(闇バイトに気づいた時点で)ひとりで悩まずに警察に相談してください。直接警察にできない場合は家族や知人を通じて相談してほしいと思います。警察が犯罪グループから危害を加えられないように相談者をはじめ 家族の保護対策を実施していきます」 闇バイトは決して他人事ではないということですね。 記者」闇バイトを自分やまわりと関係ない他人事として考えるのも良くありません。今回 男性が面会してくれたのは「自分と同じ過ちをする人を出したくなかったから」だと言っていて、「もし まわりと闇バイトについて話していたり、聞いていたりして頭の片隅にでもあれば、こんなことにはならなかったのかもしれない」と話していました」 男性の犯行は許されるものではありませんが彼が話してくれたことを無駄にしてはいけないと思います。様々な情報が氾らんする今の社会のなかで正しい情報の選択が難しくなっています。身近な人たちの間で特殊詐欺事件や闇バイトについて話題にすることが事件を防ぐ一歩になりえます。

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