尹氏訴追事由を全面認定 妥協なき対決政治に警鐘 韓国憲法裁

【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領の罷免を決めた憲法裁判所は争点の全てで尹氏側の訴えを退け、国会の主張した訴追事由を認めた。 「非常戒厳」宣言が「民主主義の原理」を否定したと断定。同時に、国会で多数を占める革新系最大野党「共に民主党」の強硬な政治姿勢にも注文を付け、与野党の激しい政治対立そのものに警鐘を鳴らした。 尹氏側は野党が国会で弾劾訴追を連発し、一方的な立法や予算案削減で「国政をまひさせていた」と訴え、不正選挙疑惑も提起した。しかし、憲法裁は「尹氏の主張する問題は政治的、制度的、司法的手段を通じて解決すべきだ」と「力による解決」を問題視。国民への「警告」だったという尹氏の主張も戒厳法の定めた目的に反すると一蹴した。 国会の軍・警察の投入について「秩序維持目的だった」とする尹氏の釈明も認められず、憲法裁は、尹氏が国会の戒厳解除要求決議を妨害する目的で「議員を議場から引きずり出せ」と指示し、国会封鎖を求めたと認定。主要政治家らの逮捕の試みに関与したとも言及した。 一方で、憲法裁は国会との対立を打開しないといけないと考えた尹氏の「重大な責任感」にも一定の理解を示した。「政治的な圧迫手段として弾劾審判制度を利用することは本来の趣旨に合致しない」と、共に民主党を批判。「少数意見を尊重」するよう求め、「数の力」に任せた強引な手法に苦言を呈した。 保守・革新の極端な主張がエスカレートし、妥協を見いだせない現在の政治状況に危機感を示した格好だ。同時に、罷免を巡る社会の対立激化を回避しようと、8人全員一致の意見を導き出すための「妥協の産物」(韓国紙・中央日報)との見方も出ている。保守系判事2人が罷免に同意する代わりに、野党への批判を盛り込んだ可能性がある。

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