訪日外国人などをターゲットとした無許可のタクシー営業(白タク行為)を迅速に取り締まろうと、神奈川県警が昨年10月から独自の捜査手法を導入し、摘発件数が増えている。白タク行為は訪日観光客の増加を背景に、県内でも増加しているとみられる。交通違反やタクシー業界への影響も懸念される中、大阪・関西万博を控える大阪府警などから問い合わせがあり、注目を集めている。 4月1日の箱根町元箱根。県警は情報提供を基にした内偵捜査を踏まえ、箱根神社周辺で白タク行為の取り締まりを行った。 一般車両である白色のナンバープレートを付けた不審な車の運転手と乗客5人から話を聞いたところ、乗客は中国籍の訪日客で、代金を支払って乗車したと説明した。 捜査員は、その場で関係機関に問い合わせて営業許可の有無を確認。裏付け作業を進めたところ、乗客と運転手の所持品から代金約2千人民元(約4万円)を支払った痕跡が見つかり、白タク行為をした疑いがあるとして運転手の中国籍の男(38)=埼玉県川口市=を道路運送法違反(有償運送)の疑いで現行犯逮捕した。男は容疑を認めているという。 従来は、営業許可の有無や代金の支払いについてその場で裏付け作業をすることはなく、関係機関への問い合わせや口座の金の流れを調べるのに時間がかかっっていた。そのため、捜査している間に乗客が帰国して話を聞けず、摘発できないケースもあったという。そこで、新たな手法では関係機関と連携して営業許可の有無を速やかに確認できる体制を構築したほか、代金の支払いもその場で確認する方法に変えた。 県警交通捜査課によると、最近の白タク行為は海外の旅行アプリで予約した訪日客を乗せるケースが増えているため、代金を事前に振り込んだ痕跡が残ることがあるといい、これらの傾向を捉えて新手法を導入した。