森喜朗氏や岸田文雄氏、石破茂氏などの歴代総理が訪れ、大物財界人が愛した老舗料亭の経営者が捕まった。 警視庁向島署が4月11日までに、覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕したのは東京都港区に住む高級料亭『金田中』社長・岡副真吾容疑者(63)だ。『金田中』は『新喜楽』や『吉兆』とともに日本三大料亭の一つと称される。警察の調べに対し岡副容疑者は「そのとおりです」と犯行を認めているという。 「逮捕容疑の事件は昨年10月1日に起きました。都内の路上に自身の車を停めていた岡副容疑者。警察が車内を調べると、覚醒剤約0.6gと乾燥大麻約1gが見つかったそうです。さらに今年に入り岡副容疑者の自宅を捜索すると、数十回使用できるほどの量の覚醒剤や吸引用のパイプが見つかったとか。岡副容疑者は大麻取締法違反の疑いでも逮捕されています」(全国紙社会部記者) 『金田中』は大正時代に創業した老舗だ。岡副容疑者の祖父がオーナーから店を買い取り銀座や新橋を中心に発展。北大路魯山人の高級な器を使った季節料理を提供するなどし、政財界の大物が利用してきた。 ◆「老舗料理界の寵児」 「岡副容疑者は『金田中』の4代目にあたります。慶應大学を卒業後、米国で英語を学び帰国。『金田中』で数年間の修業を積んでから社長に就任しました。古くからの伝統を守りつつ、時代に合った新しい料理のスタイルにも挑戦しています。カウンター形式の割烹、焼き肉店、能舞台を備えた1日1客限定の数寄屋……。老舗料理界の寵児だったんです。 一方で厳しい評判もありました。『週刊新潮』(’23年4月13日号)は岡副容疑者のパワハラ疑惑を報道。同誌によると試食会などへの遅刻はたびたびで、料理を大声で酷評することもあったそうです。一般の人たちとは違う、どこか浮き世離れした雰囲気をただよわせていたと聞いています」(新橋界隈の料理関係者) 本誌カメラマンは、逮捕直後の4月12日に行われた岡副容疑者の送検を撮影。憔悴した様子で警察署から現れると、報道陣に軽く頭を下げた。 元神奈川県警の刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「今後、捜査のポイントになるのが大量に所持していたとされる薬物の入手経緯でしょう。老舗高級料亭の経営者ですから、有名人たちとの交友も深かったと思われます。そうした交際者の中に薬物と関係する人物がいたのかもしれません。入手経緯が明らかになれば、他の容疑者が浮上してもおかしくないでしょう」 経営者の逮捕で危機に瀕する政財界の要人の高級社交場。本誌記者が東京・銀座の『金田中』を訪れると、入り口が固く閉じられ人の気配は感じられなかった。