南米エクアドルで現職のダニエル・ノボア大統領(37)が大差で政治的ライバルのルイーザ・ゴンザレス候補(47)を破って再任に成功した。ゴンザレス氏は「エクアドルの歴史上、最悪の選挙詐欺」と反発し、票の再点検を要求している。 エクアドル選挙管理委員会(CNE)は13日(現地時間)に行われた大統領選挙決選投票で、開票率95.88%基準で国民民主行動(ADN)所属のノボア氏が得票率55.8%で当選を確実にしたと明らかにした。市民革命運動(RC)のゴンザレス氏の得票率は44.2%を記録した。 2月に行われた1次投票でノボア氏がゴンザレス氏にわずが0.17%ポイント(1万6746票差)先んじていたことから、決選では激しい薄氷の勝負が予想された。しかし投票箱を開けてみるとノボア氏は予想外に100万票以上の差で大勝を収めた。ノボア大統領は自宅で「今日は歴史的な日」としながら「今回の勝利で誰が勝者なのかに対しては疑いの余地がない」という所感を明らかにした。 1987年フロリダ州マイアミに生まれたノボア氏はハーバード大学行政学修士とニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネス、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院などでエリートコースを踏んだ。父親はエクアドルの代表的な輸出品であるバナナで巨万の富を築いたアルバロ・ノボア元国会議員。父親も大統領選挙に5回挑戦したがすべて落選していた。 ノボア氏は2021年総選挙で国会議員に当選し、33歳の時に政界に入門した。その後、横領・背任疑惑が提起されたギジェルモ・ラッソ前大統領の自主的辞任で行われた2023年11月大統領選挙決選投票で勝利して政治入門から2年で大統領に当選した。当時もゴンザレス氏と争い、1次投票では2位を記録したが決選で逆転勝利を収めた。就任当時35歳で世界最年少国家指導者になったノボア大統領は今回の選挙によって就任16カ月ぶりに4年任期延長に成功した。 ノボア大統領は1年余りの在任期間中、エクアドルの治安強化に尽力した。エクアドルでは昨年1月に刑務所で同時多発暴動が起き、武装暴漢がテレビ生放送中に乱入するなど暴力事態が急増した。ノボア大統領は90日間の国家非常事態を宣言して軍警を動員してギャング団の掃討作戦を展開した。エクアドル政府の統計によると、今年初めだけで1000件以上の殺人事件が発生した。 CNNは「有権者は圧倒的に『治安』が重要な関心事だと口をそろえた」とし「ノボア大統領はギャング団との戦争を続けるために任期4年の正式な大統領職を訴えた」と伝えた。ニューヨーク・タイムズ(NYT)も「有権者の間に『ノボア大統領により多くの時間を与える必要がある』という共感があるとみられる」と分析した。 ノボア大統領はギャング団掃討のために米軍の派遣を要請し、米国のトランプ政府ともスキンシップを強化している。ノボア大統領は大統領選挙1次投票直前の1月、ドナルド・トランプ米大統領就任式への出席のために訪米した。先月29日にはフロリダのマールアラーゴでトランプ氏と会い、一緒に撮影した写真をSNSに投稿していた。CNNはこの直後にノボア大統領がこの席で米軍の派遣を要請し、すでにエクアドルのある海岸都市に米軍駐留を前提とした海軍施設を建設中だと伝えた。 反面、エクアドル初の女性大統領に挑戦したゴンザレス氏は「今回の大統領選挙結果を信じることはできない」とし、エクアドル選挙管理委員会に票の再点検を要請すると明らかにした。これに先立ち、大統領選挙1次投票ではむしろノボア大統領が0.17%ポイントという非常に僅差の得票率に不正選挙疑惑を提起した。 実際、この日エクアドル各地では数枚の投票用紙を一度に投票箱に入れたり、投票所内に銃器類を所持するなど各種不法行為の摘発が続いた。エクアドル警察は会見で「13日午後3時まで各種犯罪行為によって634人を逮捕した」と明らかにした。