ストーカー教諭:校長は懲戒せず 文書訓告を検討--甲府市教委 /山梨

ストーカー教諭:校長は懲戒せず 文書訓告を検討--甲府市教委 /山梨
毎日新聞 2011年2月4日(金)12時12分配信

 甲府市立中の男性教諭(50)が09年1~2月、部活の教え子にストーカー的行為を繰り返した問題で、当時、市教委学校教育課長として教諭を口頭注意にとどめ、同年4月から問題のあった中学に着任した現在の校長について、市教委は懲戒処分を求めない方針を固めた。教諭が同年3月末に起こした成績表流出問題でも、校長は問題を隠ぺいしたが、市教委は既に校長の懲戒処分を求めない報告書を県教委に提出しており、二つの不祥事を隠ぺいした校長が懲戒処分されない見通しが強まった。一方で、市教委は校長について「問題の認識を誤り、対応も不適切」として、市教委が行う処分で最も重い文書訓告にする方向で検討を始めた。【中西啓介】
 市教委の調査では、校長は教諭のストーカー行為が問題化した09年3月上旬、学校教育課長として、女生徒や保護者から被害内容を聞き取った詳細な報告書を担任から受け取っていたが、問題に関する十分な調査を行わないまま教諭を口頭注意にとどめ、県教委に懲戒処分を求める報告をしなかったことが分かっている。さらに問題に関する公文書を残さなかった上、担任から提出された報告書の管理を怠り、所在不明にした。
 市教委はずさんな文書管理や県教委への報告を怠った判断が懲戒処分に該当しないか、3日に顧問弁護士に相談。弁護士から「報告書を保存しなかったことや、県教委へ報告しなかったことは非常に不適切だが、ストーカー行為が事件化されていないことなどから、全体的に見て懲戒処分には当たらないとみられる」という判断が示された。
 これを受け、市教委は校長について、市教委内での処分にとどめる方針を決めた。市教委は、毎日新聞の報道で二つの不祥事が発覚した際、問題を記録した文書が一切ないため、被害者側や教員たちに長期間にわたる聞き取り調査を行う事態になり、市教委の業務や学校現場に支障を与えた点などを考慮し、校長の責任は重大だと判断した。
 長谷川義高教育長は毎日新聞の取材に「校長のした行為は注意で済むというレベルではない。再々調査となったことで市教委が身内に甘いという不信感を市民に抱かれていることは確かで、不信を払拭(ふっしょく)する一歩になるよう、校長に厳しい処分をする」と話し、指導措置としては最も重い文書訓告を検討する考えを示した。
 一方、市教委は同日、教諭の処分方針について改めて弁護士と協議。教諭が連日深夜までメールを送りつけるなどした行為について「ストーカー的行動に該当し、懲戒処分が相当」とする報告書を作成し、近く県教委に提出する方針を確認した。

2月4日朝刊

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