「定員内不合格出すな」 高校入試で県教育庁通知
琉球新報 2011年3月4日(金)9時50分配信
県教育庁が県立高校入学者選抜(入試)について、定員割れをしている場合の定員内不合格者が出ないよう合否判定基準の見直しなどの検討を促す通知文を各県立高校長に出していたことが3日までに分かった。定員割れの学校は、入試の得点や中学校の内申が合格基準に満たなくても、基準を変更することで入学させるよう促す内容。諸見里明県立学校教育課長は「強制ではない。合否は学校長の裁量だ」と説明。高校教育や入試制度の在り方自体が問われる内容で、現場からは「成績が追い付かず、学習意欲がない生徒まで合格にすれば、授業が成り立たない」など戸惑いと反発の声が上がっている。
文書は「県立高等学校入学者選抜における定員の確保について(通知)」として2月25日、課長名で各学校長宛てに出された。
文書では、空き定員の解消に向け取り組むよう指導してきた経緯に触れ「空き定員があるにも拘(かかわ)らず定員内不合格者を出すなど、未(いま)だ改善されない学校がみられる」と強調。国の授業料無償化を挙げ「入学意志のある子どもたちへ学ぶ機会を提供することの重要性を再認識していただき、趣旨に反した定員内不合格者が出るようなことがないよう合否判定基準の見直しを検討するなど、より一層定員の確保に努めるよう」促した。
県立高校の男性教諭の一人は合格基準に満たない生徒を受け入れることについて、入学後の単位保留や中退など、学力不足から生じる問題を懸念。学校長の一人は「無償化に伴い高校が義務教育的になりつつある。『みんな入れなさい』という雰囲気になっているのは事実」と述べた。
諸見里課長は「20人も空き定員があるのに十数人も落としたり、成績に差がないのに落としていたケースも過去にあった」と説明。「空き定員が著しいのに不合格者を何人も出すなど、県民に説明がつかないような対応はしないでほしいとの趣旨だ」と話した。