前橋、高崎、桐生3市 朝鮮学校生に通学費
産経新聞 2011年11月23日(水)7時55分配信
■「個人補助」教育内容確認せず
前橋、高崎、桐生の3市が今年度、群馬朝鮮初中級学校(前橋市)の児童・生徒に通学費を支給する方針を決めていたことが22日、分かった。朝鮮学校への補助金をめぐっては、他県では教育内容を確認したうえで支給の可否を決定しているケースがあるが、前橋市では「学校ではなく個人への補助なので、教育内容まで踏み込む必要はない」と判断。3市とも拉致事件などに関する教育内容を確認しないまま支給を続ける構えだ。(西村利也)
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前橋市文化国際課によると、市内から同校に通う17人にそれぞれ年間2万9千円が支給される。同市は来年3月に保護者を通じ通学費を渡す予定。来年度も同校経由の申請を受けると見込み、20人分(58万円)を予算要求する方針だ。
同市は昭和62年度から毎年、同校に通う児童・生徒に通学費を補助。毎春、同校経由の申請を受け、各児童・生徒の保護者に支給してきた。
補助は、学校教育法で「各種学校」に位置付けられた外国人学校に通う市内在住の義務教育相当年齢の児童・生徒のみに交付される。このため、市内から私立の小中学校に通う児童・生徒は交通費を請求できず、対象外となる。
さらに、同校に通う児童・生徒への通学費補助は、高崎市が今年度130万円(20人分)をすでに支給、桐生市も21万6千円(2人分)を予算に計上。両市とも同校の教育内容を確認せず予算化している。
前橋市では、北朝鮮による日本人拉致事件に関する授業内容の調査の要否については「同様の補助を実施している高崎、桐生の両市の状況も踏まえ、今後必要があれば検討する」(同課)と他市との足並みを重視する考えだ。
また、同校への補助金交付を毎年実施している県も、今年度分については、教科書や授業内容の実態調査を行わずに12月にも一部を交付する構えだ。
県では昭和61年以降、教育内容を業務としてチェックしないまま、同校への補助金交付を継続。今年度予算にも、277万3千円(児童・生徒1人当たり5万9千円)を計上している。
自治体の朝鮮学校に対する補助金交付をめぐっては、神奈川県では今年度、県職員が同県内の朝鮮学校で、日本人拉致事件に関する授業を視察。拉致事件を授業で取り上げていることを確認したうえで、黒岩祐治知事が支給方針を表明している。