飲酒運転→懲戒免職の公務員が続々復活しているゾ
日刊ゲンダイ2012年3月23日
“身内”に甘い裁判官
飲酒運転で物損事故を起こし、懲戒免職となった北海道根室市の男性職員(50)が、「処分は重すぎる」と取り消しを求めた訴訟で、釧路地裁は6日、「人身事故ではなく、免職は酷」と市に処分の取り消しを命じる判決を下した。21日、市が控訴を断念したため判決が確定した。
信じられないような“大甘”判決だが、今回のように飲酒運転をした職員を県や市が「懲戒免職」にしたのに、それを取り消す判決が全国で相次いでいる。
調べたところ、この2年間に12件の免職や退職金不支給が、「違法」と判断されている。判決内容もアキレるものばかりだ。
焼酎グラス5杯とビールを飲み、酒気帯び運転で検挙された鎌倉市の中学校教諭に対し、「人身事故を起こしたわけではない。同僚や保護者の信頼も厚い」(横浜地裁)、自宅で焼酎3杯を飲んで、一方通行の道をバイクで逆走した京都市の職員に、「公務員の地位を奪い、退職金も一切受け取れなくなるのは過酷」(京都地裁)、居酒屋で飲酒後、酒酔い運転で現行犯逮捕された男性職員に、「免職は社会通念上、著しく妥当性を欠く」(高知地裁)――。
裁判官の頭の中は一体どうなっているのかと疑いたくなる。
6年前に福岡市職員が飲酒運転で幼児3人を死亡させ、多くの自治体が飲酒運転は「免職」と基準を厳格化したのに、こうした判決が相次いだことで、基準を見直す動きが広がっている。
「裁判官には『公務員だから……』という身内意識があるのでしょうが、飲酒運転をすればクビになることは、事前にみな分かっていたはずです。それでもやるのは同情の余地がないし、悪質。大甘な判決は、飲酒運転を助長するだけです」(司法ジャーナリスト・小谷洋之氏)
裁判官の常識は、世間のそれとはかけ離れている。
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