信州・取材前線:東御市「淫行処罰規定」で教員逮捕相次ぐ 問われる条例の是非 /長野
毎日新聞 2012年4月17日(火)13時2分配信
◇「子供守れ」の声も「家庭対応」根強く
18歳未満の子供とのみだらな行為を禁止する東御市青少年健全育成条例違反容疑で県警は15日、県立高校教諭の飛知和(ひちわ)孝容疑者(36)を逮捕した。3月28日にも同様の条例違反容疑で男性中学教諭(35)=罰金刑が確定=を逮捕しており、教員の逮捕者が相次いだ。全国の都道府県で長野県だけが「淫行(いんこう)処罰規定」を定めた条例を制定してない。事件が県内で唯一、同条例がある東御市で起きたため、被害者が訴え出られたといえる。条例の是非や教育者の倫理観が改めて問われそうだ。
捜査関係者によると、二つの事件は、共に金銭の授受がなかったため、児童買春・ポルノ禁止法違反などは適用せず、条例で対応したという。県民から「精神的にも肉体的にも未熟な子供を守るべきだ」と条例制定を求める声がある一方「家庭のしつけなどで対応する問題」と制定に慎重な意見も根強い。
東御市が同条例を制定したのは07年。当時、有害自販機の設置が増えるなど公序良俗の乱れを心配して市民団体などが要望した。条例には「何人も、青少年に対してみだらな性行為または、わいせつな行為をしてはならない」と淫行処罰規定を盛り込み、違反者に30万円以下の罰金を科した。初の条例適用だった男性中学教諭は今月13日、罰金20万円を納付し、刑が確定した。
刑罰がある条例だけに、制定当時から「わいせつな行為の定義」が議論になった。県弁護士会は「何が『みだら』であるか『わいせつ』であるか不明確」と声明を出し、条例見直しと慎重な運用を求めていた。
今回の逮捕について、制定当時「県弁護士会子どもの権利委員長」を務めた有吉美知子弁護士は「条例による規制には反対。大人が子供とコミュニケーションを取って取り組むべき問題だ」と改めて強調した。
全国的には規制強化の傾向もある。東京都は05年、既にあった都青少年健全育成条例に青少年(18歳未満)に対する淫行禁止を追加した。都によると、子供のインターネット利用拡大に伴い、出会い系サイトなどにアクセスしてしまい、性犯罪に巻き込まれることを懸念した措置という。
今のところ、長野県は従来の見解を変えていない。阿部守一知事は記者会見で「条例の規制で対応するのではない(子供の)保護をやってきた」と新たな制定を否定。東御市の花岡利夫市長も「一般論として市が罰則を含む条例を維持することは慎重であるべきだと思う」と積極的な条例適用には慎重な考えだ。
議論をよそに、子供が被害者になる犯罪は減る傾向にはない。昨年、長野県内で児童福祉法や児童買春・ポルノ禁止法違反による検挙者は36人。最近5年は横ばいで推移している。【福富智、小田中大】
4月17日朝刊
なに寝言言ってるのかと思っちゃいますけどね
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