県教委:教員の資質向上検討会議 「分限処分活用、議論を」 矢崎委員長が見解 /長野
毎日新聞 2012年7月19日(木)13時12分配信
県教委などが設置した「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」の内容について県教委の矢崎和広・委員長は、定例記者会見で「民間の有識者に、処分の在り方のご意見を頂くのが良いと思う」と述べ、指導力不足などで教員を免職や降格させることができる「分限処分」の活用について話し合うべきだとの見解を述べた。
矢崎委員長は、教員が重大な不祥事を起こした場合の懲戒処分について「悪い事をしないと処分を受けないもの」と指摘。その上で「(問題行動が)重なった時に(今までと)違った分限処分の在り方があるのではないか。(事件化前の処分は)民間では当たり前のこと」と述べた。
県教委は03年、教員は学習指導を適切に行えなかったり、教員として不適格と判断されたりした場合「指導力不足等教員」として研修などを受け、改善しない場合、分限処分できる制度を導入した。しかし、現在までに6人が指導力不足を認定されたが、職場復帰4人▽依願退職2人−−で分限処分はない。
分限処分について県教組の市川昇書記長は「処分強化では不祥事はなくならず、教員が力を発揮する場づくりが重要だ。検討会議の議論を注視したい」と述べた。
県外では大阪府や大阪市が今年、教育基本条例案に2年連続で最低評価(全体の5%)が続いた教員を分限免職の検討対象とする条項を設けようとし、反発を受けた例がある。【小田中大】
◇知事は分限活用に理解 「教員の能力把握に疑問」
県教委の矢崎和広委員長が言及した教員の分限処分の活用について阿部守一知事は定例記者会見で「『教員としての資質や能力が本当に維持されているのか』という観点で、分限処分の在り方も当然考えないといけない」と理解を示した。
知事は「(現行の)評価で本当に教員の能力を把握されているのかということ自体に疑問を持っている。分限処分は、誰がどういう形で評価するかが重要になる。そういう視点で議論してほしい」と、公募委員の県民も参加する「教員の資質向上・教育制度あり方検討会議」で議論することを希望した。【小田中大】
7月19日朝刊