「死にたい」”いじめが疑われる” 届かなかった教師へ涙の電話&現場への指導…遺体で発見の女子中学生

「死にたい」”いじめが疑われる” 届かなかった教師へ涙の電話&現場への指導…遺体で発見の女子中学生
北海道ニュースUHB 2021/11/4(木) 20:50配信

 北海道旭川市で3月、当時中学2年生だった女子生徒が遺体で見つかり、旭川市教育委員会が「いじめの重大事態」と認定してから半年が過ぎました。

 5月に設置された第三者委員会の調査が続く中、女子中学生が2019年に自殺を図って川に入った際、学校に電話で「死にたい」と訴えていたことが北海道教育委員会が遺族側に開示した文書や遺族の代理人弁護士への取材で明らかになりました。

 この問題は3月、旭川市内の公園で当時中学2年生だった広瀬爽彩さん(当時14)が凍死しているのが見つかり、旭川市教育委員会が設置した第三者委員会がいじめの調査を進めているものです。

 開示された文書や代理人弁護士によりますと、広瀬さんは2019年6月、市内の公園で他の生徒らとトラブルになり川に入り自殺を図ろうとしていて、その際川に入ったまま電話で学校に電話し、教師に「死にたい」と訴えていたということです。

 これまでの取材で明らかになった状況は以下の通りです。

【2019年6月】
 公園のベンチで広瀬さんが隣に座ってきた人に向かってふざけてたたくなどしていたが、その後パニックになり、「私のことは誰もわかってくれない。死んできます」などと言いながら、公園から川のコンクリートの土手を滑り降りてひざ下程度の水深の川へ入った。

 当時現場には多くの小学生や中学生が取り囲む状況で、広瀬さんは川に入りながら自分のスマートフォンで中学校に電話し、泣きながら「死にたい」と訴える。

 すぐに3人の教員が現場に駆け付けて川から引き上げ、学校に連れて行った。

【2019年10月】
 この状況を確認した北海道教育委員会は、旭川市教育委員会の課題を3点あげました。

・広瀬さんへの聞き取りをしていない
・いじめの疑いがある事案としての対応をしていない
・広瀬さんの保護者に学校の対応方針や指導方針を伝えていない

 その上で、「本人がいじめではないと話したとしても、客観的にいじめが疑われる状況。特に川に入った際『死にたい』と繰り返し訴えていることから、『心身の苦痛を感じている』ことが考えられる」として、以下の具体的な対応を求めました。

・学校はいじめの疑いがあると考え、旭川市教育委員会に報告するとともに、対応策について指導助言を受ける
・学校は被害生徒の保護者にいじめの疑いがあることを説明し、被害生徒への聞き取りについて理解と協力を求める
・学校は当該生徒、および加害生徒の保護者に対して、いじめの事実や対応策を伝え、謝罪と今後の対応について共通理解を図る

 当時の北海道教育委員会の指導に、旭川市教育委員会はいじめとは判断しませんでした。

 広瀬さんは自殺未遂を図ったあと別の学校へ転校しますが、2021年3月に公園で凍死した状態で発見されています。

 広瀬さんの代理人弁護士は「学校から教員が3人も現場に駆けつけ、いじめを苦に自殺未遂を図った爽彩さんの状況を確認しながら、その後、何ら支援もケアもせず、事態の悪化を放置した責任は極めて重い。この時点で、なぜ、いじめ重大事態として対処しなかったのか、学校・教育委員会の対応は理解に苦しむ」とコメントしています。

 いじめの有無を調査している第三者委員会は、11月上旬には関係する教職員への調査を開始するとともに、関係学校の児童生徒へのアンケート調査を実施、その他の児童生徒や教育委員会職員へのヒアリングにも順次着手するとしていて、旭川市長は年度内の報告を求めています。

 旭川市教育委員会は取材に対し、「第三者委員会で調査している最中なので、コメントは申し上げられない」としています。

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