日本の裁判所が世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に法人解散を命じたことで、献金被害者に対する賠償の可能性に関心が集まっている。ただし、家庭連合側が上級審を通じての法廷闘争を予告していることから、実質的な被害回復までには相当な時間がかかるものとみられる。 朝日新聞は26日、「仮に解散命令が(上級審を経て)確定すると、教団財産は、裁判所が選ぶ『清算人』の管理になる」として、この場合、「清算人が高額献金などの被害や教団財産を調査し、債務の弁済として被害の補償に充てることになるとみられている」と報じた。 これに先立ち25日、東京地裁は「(旧統一教会による)法令に違反する行為は約40年間、全国的に行われ、総体として、類例のない膨大な規模の被害を生じさせた」として、「法人格を与えたままにしておくことは極めて不適切だ。解散によって法人格を失わせるほかに適当かつ有効な手段は想定しがたい」とする決定を下した。裁判所は「本人や近親者らの生活の維持に重大な支障が生じ、長期間にわたって深刻な影響を受けた者が相当数いる」として、「総じて悪質」「結果も重大だ」と述べた。 家庭連合は1954年に韓国で設立され、10年後の1964年、日本で宗教法人の認可を受けた。当初は「世界基督教統一神霊協会」の名称で活動し、2015年に現在の名称に変更した。日本で家庭連合が大きな問題になったのは、統一教会の時期だった2007年ごろ、信者が「霊界にいる先祖の苦しみを取り除き、子孫が繁栄するためには、霊的なものを買わなければならない」とする手法で、つぼ、印鑑、装飾品などを献金方式で売り付ける、いわゆる「霊感商法」問題だった。当時は社会問題になり、一部の信者が特定商取引法違反容疑で逮捕され、教団施設は強制捜索を受けた。警視庁は「霊感商法」について「ただのつぼや印鑑・置き物などに、あたかも超自然的な霊力があるように、言葉たくみに思わせて、不当に高い値段で売り込む商法」だと説明している。 家庭連合の献金問題は2022年7月、安倍晋三元首相の銃撃殺害の背景となり、日本社会全体を揺るがした。当時犯人が「母親が統一教会に巨額の寄付をして、家庭が崩壊した」と述べ、これが自民党政権に大打撃を与えた。その結果、日本政府が関連の調査を行った後、翌年、裁判所に家庭連合の解散命令を請求したのが、今回の判決につながった。 日本の裁判所が宗教団体に解散命令を出したのは、今回が3回目。過去には、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教(1996年確定)と献金などを詐取した明覚寺(2002年確定)の事例があった。ただし、過去の2つの事例が刑法に違反したものだったのとは違い、家庭連合は民法上の不法行為を根拠に解散命令が下された。 被害者が宗教団体に出した「献金」を、法的な賠償のかたちで返還してもらえるかどうかは未知数だ。現時点では、家庭連合の財産は、これまでに明らかになった被害者に賠償するには十分な規模だ。裁判所の決定文によると、家庭連合側は2015~2022年に献金などで年平均409億円規模の収入があり、2022年度末時点での総資産は1181億円あることが確認されている。 しかし、宗教団体にすでに払った献金を賠償のかたちで返還してもらう法的手続きは不備な状況だ。全国統一教会被害対策弁護団は、裁判所の決定直後、判決に歓迎の意向を表明しながらも、被害救済の手続きに必要な立法措置を要求した。読売新聞は、昨年11月までに家庭連合の元信者や家族ら194人が、霊感商法や高額献金などの被害を訴え、約58億円の賠償を教団に要求しているが、法的救済が遅れており、多くが裁判所の調整手続きへ移行している状況だと解説した。同紙によると、日本の宗教法人法は、清算人は債権取り立てや債務弁済などのために「必要な一切の行為をすることができる」と抽象的に明示しているだけで、具体的な権限を規定していない。 二審と最高裁での法的な攻防が予告されたことも、被害回復の障害になる可能性がある。家庭連合側は一審判決後、「誤った法解釈に基づいて出された結果であると言わざるを得ない」とする見解を出した。家庭連合の田中富広会長は「正しい判断を下していただくために最後まで戦う」と述べ、控訴の立場を明確にした。朝日新聞によると、家庭連合の日本国内の信者は60万人、うち10万人ほどが毎週礼拝に参加している。 東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ [email protected] )