群馬・小6自殺 「いじめ」めぐり学校側と対立
産経新聞 2010年10月28日(木)7時56分配信
今月23日、群馬県桐生市で小学6年の上村明子さん(12)が自宅で首をつり、短い人生に自ら終止符を打った。家族は学校でのいじめを苦に自殺したと訴える。しかし学校側は明子さんが学級内で孤立していたことは認めながらも「いじめの認識はない」と否定する。高木義明文部科学相や同県の大沢正明知事はいじめの存否を含めた調査を指示したが、学校側との埋まらない溝に家族の苦痛は増すばかりだ。(前橋支局 森本充、本間英士)
明子さんに自殺を決意させたのは、意を決して参加した「社会科見学だ」と父の竜二さん(50)は振り返る。
10月に入り休みがちだった明子さんは21日、前橋市内の県庁や地裁を回る社会科見学には参加した。当日の朝、リュックを何度も笑顔でのぞき込む姿を竜二さんは鮮明に覚えている。
だが、社会科見学に臨むと笑顔は消えた。「こんなときだけ来るのか」。同級生が放った一言にふさぎ込んだ。そして、二度と学校に行くことなく23日正午ごろ、自室のカーテンレールにマフラーをかけて首をつった。マフラーは母(41)へのプレゼントに自ら編んだものだった。
いじめは明子さんが愛知県から転校した1年後の5年生に始まった。授業参観に訪れたフィリピン人の母の容姿について悪口を言われたのがきっかけだった。
クラス替えした6年生から無視が始まり、今秋には給食時にグループに加われず独りぼっちで食べていた。「転校したい。どんなに遠くても歩く」と、明子さんは何度も両親にすがっていた。
一方、学校側は明子さんの悪口を言う児童への注意や、班ごとで給食を食べるように指導。だが、事実上クラスを統制しきれなかった。岸洋一校長は「よくない状況だったが、いじめとは認識していなかった」と強調する。
こうした状況を受け、高木文科相は26日、事実関係の確認を行う考えを表明。大沢知事も27日、「(自殺までに)シグナルを発していたはずだ」と述べ、検証を確約した。
家庭科と体育が得意だった明子さん。将来はパティシエになる夢を抱き、転校当初は「友達がたくさんできたらいいな」と家族に笑顔で語っていた。竜二さんは「娘の夢はかなわなかった。学校はいじめを認めてほしい。それが唯一の願いだ」と切実に訴えた。