紀の川市立中学、集団暴行 学校側、事情聴取もできず 和歌山
産経新聞 2012年9月25日(火)7時55分配信
■加害少女の大半、謝罪拒む
全国各地でいじめ問題が続出する中、紀の川市の市立中学校で発覚した集団暴行事件。加害生徒のほとんどが謝罪を拒否する現状に手をこまねき、いまだに事情聴取もできていない学校側の問題が浮き彫りになっている。被害少女の母親は「謝罪があれば前に進める。学校は事実を把握し、子供が笑顔で登校できるようにしてほしい」と訴えている。
事件は3月に発生し、被害少女は殴る蹴るの暴行のほか土下座した頭を踏みつけられ、ジュースをかけられたりもしたという。当初学校は「突発的な傷害事件でいじめではない」との認識だったが、被害少女が事件後も加害グループから言葉による嫌がらせを受けたこともあり、現在ではいじめと判断しているという。
学校は事情聴取をしなかった理由について、「県警から『捜査に支障が出る』といわれたため」と説明。加害生徒らからも「警察で話したのに、なんでまた学校で言う必要があるのか」と反発を受け、実際に暴行を加えた生徒以外からは話を聞けず、事件の原因も把握できていないという。
実際に暴行を加えた生徒と保護者は事件直後に担任とともに被害者宅を訪れ謝罪したが、ほかの4人は校長らが謝罪を促したものの、「見てただけ」などと拒否。事件後も加害・被害生徒双方とも通学しており、学校側が校内でグループと被害少女が接触しないよう配慮したものの、被害少女はその後も大声を上げられるなどの嫌がらせを受けたという。
被害少女の母親は会見で「このままでは殺されると思った。最後の手段で弁護士に相談した」と話し、代理人の山崎和成弁護士は「学校には問題に対してできる限り何もせず、静まるのを待つとの消極的な姿勢が感じられる」と批判する。
学校側は謝罪に応じない生徒らについて、「加害生徒らも家裁の処分が出れば『見てただけ』ではすまされないことがわかるはず。一定の反省の気持ちはあると思うが、推し量るしかない」。同市教委は「被害生徒の心が傷つかないよう最大限努力してきたつもりだったが、被害者側から理解を得られなかったのは非常に残念」としている。