脳脊髄液減少症テーマに講演会、市立学校教諭ら130人が対応策学ぶ、スポーツ事故で注目/川崎
カナロコ 2012年10月27日(土)5時30分配信
学校現場でのスポーツ事故などで近年注目を集める「脳脊髄液減少症」をテーマにした講演会が26日、川崎市中原区内で開かれた。川崎市立学校の養護教諭や体育科教諭ら約130人が参加。今年になって市内の中学校でも事故例が報告されており、参加者は特徴的な症状や対応策などを学んだ。
学校医や学校歯科医、学校薬剤師、学校長、養護教諭らで組織する任意団体「市学校保健会」の主催。同保健会では年1回、話題のテーマを取り上げる研修会を開催してきた。
生徒はその後、脳脊髄液減少症と診断され、長期間学校を休むことになった。
この事故を受け、市教委は、今回の講演会に最低1人の教諭を出席させるよう全中学校に要請した。本来は同保健会のメンバーではない、体育科教諭にも参加を呼び掛けた。
講師を務めたのは、市立川崎病院医師の相馬啓子さん。相馬さんは耳鼻科医として、めまいなどの症状を訴える患者の診療に当たるうちに、脳脊髄液減少症と関わるようになったという。
相馬さんは症例を交えながら、起立時に頭痛がひどくなるなど特徴的な症状を紹介。外傷性と特発性の2種類があり、外傷性もしばらくしてから症状が出てくることが多いとした。
患者が困ることについては、「心因的なものと誤解されやすい」「特に寝ていると見た目にはどこも悪くなさそうなので、気のせいや怠け病と言われる」などと指摘。川崎での事故にも触れ、「柔道が悪いわけではない。どんなスポーツでも起こる可能性があり、私が診察した症例ではマット運動が多かった」とした。
脳脊髄液減少症は、脳脊髄液腔から髄液が漏れ出すことで頭痛や首痛、めまい、耳鳴りなどの症状を引き起こす疾患。文部科学省は脳脊髄液減少症が疑われる事故が発生した場合、適切な対応を求める通達を、9月5日付で全国の自治体などに出している。