いじめ対策の人材増員 財源確保が課題 和歌山県教委
紀伊民報 2012年11月12日(月)16時53分配信
いじめ対策を強化するため、文部科学省はスクールソーシャルワーカー(SSW)を倍増する方針を打ち出している。和歌山県教委も増員する方向だが、人材確保のための財源が課題となっている。
SSWは学校を拠点とし、福祉的な立場から学校と家庭、関係機関のつなぎ役となる。いじめや不登校などの問題が起きれば関係者を集めたケース会議に参加。家庭環境の改善に取り組む例もある。
県教委は2008年度からSSWの派遣を始めた。本年度は10人を10市町に派遣している。学校関係者への浸透が不十分な面もあるが、活用する学校からは「問題行動の解消率が高まった」との声があるという。
SSWには社会福祉士や精神保健福祉士の資格が必要。雇用形態が不安定なため希望者が少なく、教育、福祉の分野で豊富な経験がある人材を「準ずる者」として採用している。和歌山県の場合、10人中、有資格者は4人。費用は国が3分の1、県が3分の2を負担している。
勤務は1日6時間、年間60日程度。こうした勤務形態も人材確保を難しくしている。田辺市ではSSWを不登校生を支援する市教育研究所の臨時職員として雇用している。市教委は「十分活動するには、もう少し勤務日数を増やしてもらいたい」と要望する。
県教委は勤務日数を検討課題とした上で「SSWのノウハウを各学校に伝え、教員の問題対応能力向上を図るのも大事な仕事。重いケースをSSWが担当する形で対応できれば」と話す。
同じく文科省が増員を打ち出しているスクールカウンセラー(SC)も同様の課題を抱えている。
県教委は1996年度からSCの配置を始めた。本年度は81人を小中高校166校に配置している。配置割合は小学校で1割強、中学校が7割強、高校は8割弱。文科省は全公立小中学校への配置を目指している。