<降圧剤臨床疑惑>千葉大調査「不正なし」…中間報告
毎日新聞 2013年12月12日(木)8時3分配信
降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、千葉大の調査委員会が同大チームによる臨床試験について、「故意のデータ操作はなかった」とする中間報告をまとめたことが、大学関係者への取材で分かった。17日に公表する。
同大は5月に調査委を設置。試験対象の高血圧患者の症例データとカルテを、大学と第三者機関とでそれぞれ照合すると共に、試験関係者に事情聴取していた。
関係者によると、第三者機関の照合は続いているため、中間報告は大学の調査を基にする。それによると、データの不一致が複数あったが、大学幹部は取材に「故意のデータ操作ではなかったと考えている」と説明した。
試験には、製薬会社ノバルティスファーマの社員(退職)が関わっていた。ノ社の調査では、社員は研究体制などで助言したが、千葉大の研究者との人間関係に亀裂が生じ、試験自体にはほとんど関与しなかったとされ、試験用のデータベースにアクセスした証拠も見つからなかった。
試験は、小室一成教授(現在は東京大教授)の研究チームが2002年から患者約1000人を対象に実施。脳卒中などへの効果は別の降圧剤に比べて大差なかったが、「心臓や腎臓などを保護する効果が高い」と結論付け、11年に発表していた。【田中裕之】