中学生自殺未遂「直接的原因分からない」 第三者調査委が会見
紀伊民報 2014年1月20日(月)16時55分配信
和歌山県田辺市立中学校の男子生徒による自殺未遂事件の原因究明に取り組んだ第三者調査委員会。19日に市役所で開いた記者会見で、委員長の宮島繁成弁護士は「いじめが直接かつ単独で自殺の原因となったとは考えられない。学校内のいろんなつらいことが背景にあった」と何度も強調した。会見での主なやりとりは次の通り。
―委員会が認定した各いじめ行為が、自殺未遂の原因と考えられないとの結論だが、どういう意味か。
宮島委員長 何月何日にどういうことをされた、言われたなど、直接的原因は分からないし、多分ないかもしれない。いろんな要因が複雑に重なりあってポキンと折れたというように考えられる。
―いじめだけでなくほかの要因もあったということか。
宮島委員長 つらいことがあった。でも居場所があって支えてくれる人が居たら問題はない。いじめがあった。クラスやクラブで浮いた存在になっていた。孤立感があった。勉強の悩みもあった。いろんなつらいことが背景にあったということ。
―委員会が認定したいじめの内容は何か。
宮島委員長 あだな名で呼ばれたこと。クラブ内でのふざけやからかい(ズボンの下げ合い、ボールをぶつけられるなど)があった。
―自殺を決意したつらい要因はすべて学校内のことか。
宮島委員長 学校内のさまざまな因子が複合的に結びつきながら内面に蓄積、孤立感や無価値感などにより精神的に厳しい状況に追い詰められた。
―家庭など学校外のことも調査した結論か。
宮島委員長 家庭内のことで自殺の原因になる問題はなかった。
―男子生徒が自殺未遂を図った事件当日に何があったかを調査したか。
宮島委員長 もちろん事件直前に何があったかに関心をもって調査したが、自殺の原因になり得ることがあったと評価できるものはなかった。
■田辺市長提言生かし防止策を
田辺市の真砂充敏市長は19日、第三者調査委員会から報告を受け「報告内容を早急に審査し、いじめ防止の市の考えをまとめ、新年度からの市教委の基本方針に盛り込んでいきたい」と述べた。
調査委の報告については「いじめがあり、つらいことが蓄積し、複合的に孤立感や無価値感を深めていた│とある。それに気付くことができなかったこと、対応できなかったことに大変複雑な思いをしている」と述べた。
また調査委設置を決めてから設置するまでに3カ月かかったことに触れ「もっと早く立ち上げたかった」と反省を口にした。
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「いじめ含む複合的要因」 中学生自殺未遂で第三者委が調査報告
紀伊民報 2014年1月20日(月)16時56分配信
和歌山県田辺市立中学校2年の男子生徒(14)が2012年12月に自殺を図り、寝たきりになっている問題で、市が設置した第三者調査委員会は19日、報告書を真砂充敏市長に提出した。報告書は、校内でいじめがあったことを認めた上で「いじめが直接かつ単独で自殺未遂の原因とは考えられない。いじめを含む周囲との人間関係など学校内のさまざまな因子が複合的に結びついている」と結論付けた。
報告書は、男子生徒が特定のあだ名で呼ばれたり、テストの点をからかわれたり、部活動でボールをぶつけられたりした行為をいじめと認定した。また「人間関係だけでなく、学習面でも思うような結果を出すことができず、悩みを抱えていた」とした。
男子生徒は12年10月に現状を変えようと、学校にクラブ内の嫌がらせや行き違いを伝え、転部を申し出たが、「この思いは十分に受け止められず、むしろ挫折感や無力感として残った」と指摘した。
報告書は、学校のいじめへの対応についても言及。「事件発生まではクラスやクラブ内の人間関係のトラブルととらえ、学校全体として対応すべきいじめと認識していなかった」と批判した。
再発防止については「いじめが疑われる案件は、担任や顧問だけで抱え込まず、学校全体として対処し、専門機関と連携する」「子どもや保護者からの相談を常時受け付け、学校と異なる立場から問題の早期調整、解決を図る第三者機関を設置する」などと提言した。
学校や市教委の事件後の対応についても「記録を見る限り、自殺未遂は家族内の問題が主要な原因と判断した形跡があり、この判断が柔軟な対応を阻害した」と改善を求めた。
市役所で会見した調査委員長の宮島繁成弁護士(大阪市)は「不幸な事件が二度と起こらないよう、報告書の趣旨を取り入れ、市に万全の対策を希望する」と話した。
真砂市長は「報告書の内容を十分読み解き市教育委員会が本年度中に作成する『いじめ防止の基本方針』に、いじめ防止条例の制定も含め、反映できるか検討したい」と述べた。
男子生徒の家族は調査内容への意見表明は控えるとした上で「市には二度と息子のような悲しい出来事が起きないよう適切な対応を取っていただきたい。一刻も早く市長の判断を示してもらいたい」とコメントを発表した。
【これまでの経過】
12年12月15日午後9時すぎ、男子生徒が自宅で首をつっているのを家族が発見。病院に運ばれたが意識が回復せず、いまも医療施設で寝たきりの状態が続いている。
13年2月26日に事件を公表した市教委は「校内でのいじめを確認したが、自殺未遂に直接つながる原因は見つけられていない」としていた。一方、男子生徒の家族は「いじめが原因と考えている」として真相究明を求めていた。
13年6月に市は弁護士や教育の専門家ら5人による第三者委を設置し、生徒や教員ら81人から聞き取りを行うなど調査を進めていた。
こいつら、同級生が卒業間近になるまでわざと結論出さずにいただろ!