ノ社元社員 営業幹部が大学側に紹介 地検、慈恵医大も捜索

ノ社元社員 営業幹部が大学側に紹介 地検、慈恵医大も捜索
産経新聞 2014年2月21日(金)7時55分配信

 製薬会社ノバルティスファーマが販売する降圧剤「ディオバン」の臨床研究データ操作事件で、同社の営業担当幹部が、データ解析に関与したノ社の元社員を京都府立医大や東京慈恵会医大の教授らに紹介していたことが20日、関係者への取材で分かった。元社員が関与した研究論文では実験データが操作されていたことが既に判明。東京地検特捜部は、ノ社がディオバンの販売促進のため、組織的に研究に関与しようとしていたとみて捜査する方針。

 特捜部は同日、薬事法違反(誇大広告)容疑で、東京慈恵会医大(東京都港区)を家宅捜索。押収した資料を分析し、立件の可否を検討する。

 関係者によると、ディオバンの臨床研究は、東京慈恵会医大で平成14年1月、京都府立医大で16年1月から始まり、ノ社元社員は初期段階から参加していた。

 元社員は当時ノ社の営業部門に所属していたが、両大学の研究責任者らは、ノ社の営業担当幹部から「統計の専門家」として紹介されたという。

 元社員は研究データの解析に必要な統計学を学んだことはなかったが、厚生労働省の調査に「医師から統計解析についての相談を受けるなかで知識を身に付けた」と説明している。

 元社員は14年4月に無給の非常勤講師として大阪市立大学にも採用されていた。厚労省の調査に対し、東京慈恵会医大、京都府立医大の元教授らは元社員にデータ解析を依頼した理由を「(学内に)統計解析の経験者がいなかった」などと説明しており、元社員については「当初は大阪市立大の非常勤講師と認識していた」と述べていた。

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降圧剤データ操作 東京地検特捜部が千葉大も捜索
産経新聞 2014年2月21日(金)19時54分配信

 製薬会社ノバルティスファーマが販売する降圧剤「ディオバン」の臨床研究データ操作事件で、千葉大(千葉市稲毛区)は21日、「東京地検特捜部の家宅捜索を受けた」と発表した。千葉大は「捜査には全面的に協力していきたい」としている。

 千葉大は臨床研究を行った5大学の一つ。当時、千葉大にいた小室一成東大大学院教授を責任者とし、平成14〜21年に実施された研究では「心臓や腎臓などを保護する効果が高い」と一部でディオバンの有意性を認める論文が書かれ、ノ社はそれを100回以上、広告に利用していた。

 大学側の調査では、論文に使われたデータと患者のカルテに最大8%の相違があったことが判明しているが、「意図的な操作を示す証拠はなかった」としている。

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