高畠高生自殺、いじめ原因と認定せず 山形地裁判決・両親の請求を棄却

高畠高生自殺、いじめ原因と認定せず 山形地裁判決・両親の請求を棄却
山形新聞 2014年3月12日(水)10時11分配信

 高畠町の高畠高で2006年11月、同校2年だった渋谷美穂さん=当時(16)=が飛び降り自殺したのは校内でのいじめが原因だったなどとして、両親が県に9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが11日、山形地裁であった。石垣陽介裁判長は、いじめが原因で自殺したとは断定できないなどとして、原告の請求を棄却した。

 判決理由で石垣裁判長は、美穂さんの学級内で消しゴムのかすを投げてふざけ合っていた状況はあったとしたが、美穂さんに対するいじめだったとは断定できないとした。「臭い」という言葉なども、美穂さんに向けられたものとは言えないと認定。いじめがあったとしても「誰がいつ、どのような態様で、いかなる表現で行ったか現時点では特定することはできない」とした。学校を管理する県にはいじめや自殺について予見し、防止策を講じなかった過失があるとする原告の主張についても退けた。

 一方、美穂さんの家庭内の問題が原因だったとする県側の主張については否定。自殺当時、県が遺書などを精査した形跡はなく、アンケートなどを多角的に検討したとは言えないとし、「調査が十分に尽くされたかは疑問が残る」と指摘した。

 判決言い渡し後、原告側は記者会見し、代理人の原田敬三弁護士は「裁判所の役割を放棄した判決。非常に残念で失望した。今後の対応はこれから検討する」と述べた。美穂さんの父登喜男さん(61)は「司法の壁は厚いと感じた。娘にはやれることはやったと報告したい」と話し、母真理子さん(53)は「家庭内の悩みで自殺したとする調査結果が否定された点は良かった」と語った。

 判決を受け、吉村美栄子知事は「亡くなられた生徒さんの冥福を祈る。教育委員会には子どもたちが安心して学べる学校づくりに、これまで以上にしっかりと取り組んでもらいたい」とコメントした。

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