教職員の不祥事 「高潔な倫理感」心に刻んで

教職員の不祥事 「高潔な倫理感」心に刻んで
紀伊民報 (2014年04月01日更新)

 教職員の不祥事が止まらない。県教委が2013年度に懲戒処分にした県内公立学校教職員は8件10人。前年度より2件3人多く、08年度以降、最高となった。

 懲戒処分を受けた10人のうち、最も重い免職となったのは5人。、、、。となった(以上、年齢は処分当時)。さらにの処分も検討されている。

 県内の近年の免職人数は08年度2人、09年度3人、10年度2人、11年度6人、12年度2人。近畿の他府県と比べても多く、13年度をみると、規模では比較にならない兵庫県は和歌山県と同じ5人、滋賀県2人、京都府1人、奈良県は0人。(大阪府は未集計)

 あまりにも不祥事が多いため、県教委は13年度の初めに防止マニュアル「教職員の不祥事根絶に向けて」を作った。飲酒運転、窃盗、わいせつ行為、公金の不正処理など項目ごとに原因や防止のためにどうするかと記している。

 懲戒処分を受けた場合、給与がどれだけ減り、どんな刑事上、民事上の責任があり、どんな行政処分を受けることになるかについても書き「不祥事根絶の決意」を書き込む欄まで設けている。それでも不祥事は減らせなかった。

 ことの性質は異なるが、県教委幹部の責任を問われる新たな事態も起きている。2件とも、入試問題の作成に責任を負う管理職が職務に誠実だったら起きるはずのない間違いだった。

 法律さえ守れない。入試問題の誤りを漫然と見過ごす。そんな「先生」が子どもを指導し、道徳や倫理を教えることはできるのか。職務に不誠実な管理職に、現場教員の指導ができるのか。

 県の教育界はいま、一部の心ない先生や管理職の行動で、児童生徒の育成、指導に心血を注いでいる教職員の資質までが疑われている。それでいいのか。

 県内児童生徒の学力や体力は、全国的にみても低迷している。13年度の全国学力テストでは、県内小中学生の正答率は全て全国平均を下回った。体力テストでも小中高の男女とも全国平均に届かなかった。県教委はそれぞれに対策を立て、実行しているが、肝心の教員に対する信頼が失われては、成果は期待できそうにない。

 不祥事防止マニュアルの冒頭には「子どもを教え導く立場にある教育公務員は、より厳しくより高潔な倫理感が求められる」とある。これを空文にしてはならない。これを心に刻んで、信頼回復に努めるしかない。 (K)

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