<熊本・中3自殺>いじめ否定できず 第三者委報告書
毎日新聞 2014年4月4日(金)23時17分配信
熊本県和水(なごみ)町で2012年7月、町立中学3年の男子生徒(当時14歳)が自殺した問題で、町の第三者調査委員会は4日、生徒に対するいじめ行為が11件あったと認定し、自殺の一因となった可能性は否定できないとする報告書を坂梨豊昭町長に提出した。しかし、自殺を引き起こした直接の原因は特定できなかったとした。
第三者委は教育学者や弁護士、臨床心理士ら5人で構成し、昨年6月から同級生ら計41人に聞き取り調査を実施。遺族が申し立てた同級生らの行為12件や、学校のアンケートなどで浮上した行為4件の計16件を分析した結果、持ち物に落書きされていた▽知人女性の名前を呼ばれてからかわれた−−など計11件をいじめと認めた。
しかし、本人の性格や家庭・学校環境などを総合的に分析し、自殺は「多様な要因が関係し合って生じた。いじめも要因の一つに含まれる可能性は否定できない」とした。一方、町教委が十分な調査をしないまま「いじめはなかった」と早期に結論づけたことを「問題」と批判した。
第三者委から調査結果の報告を受けた生徒の父親は取材に対し「1年9カ月たったが、私の中で時間は止まっている。風化することが一番怖かったので、やっと結論が出たという感じだ」と涙を浮かべながら話した。【志村一也、松田栄二郎】