東大医科研教授ら敗訴=朝日記事の名誉毀損認めず―東京地裁
時事通信 2014年5月12日(月)17時43分配信
がんペプチドワクチン臨床試験での東京大医科学研究所(東京都港区)の対応を批判する記事で名誉を毀損(きそん)されたとして、医科研の中村祐輔特任教授らが朝日新聞社などに計2億円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であった。笠井之彦裁判長は「教授らの社会的評価が低下したとは認められない」として、請求を棄却した。
判決によると、朝日新聞は2010年10月15日付朝刊1面などで、臨床試験で患者に消化管出血があり「重篤な有害事象」とされたのに、医科研は同種のペプチドを提供した他の病院には知らせていなかったなどと報道した。
中村教授らは「経済的利益を優先させるために医科研が出血を隠し、自分も深く関与したかのような印象を与えた」と主張。しかし、判決は「医科研と教授が事実上同一だとした記載がされたり、一般読者が訴えのような読み方をしたりするとは言えない」と判断し、名誉毀損を認めなかった。