「教え子の論文盗用」教授を処分 本人は反論し提訴
朝日新聞デジタル 2014年5月20日(火)20時57分配信
金沢大学は20日、人間社会研究域に所属する60代の男性教授が論文を盗用したとして1年間出勤停止の懲戒処分にしたと発表した。教授側は「盗用にはあたらない」と反論している。
大学によると、教授は、指導している大学院生の未発表論文を修正した論文を、ほかの研究者らとともに共著者として2010年に国際誌に投稿した。大学院生は当初、筆頭著者だったが、校正段階で著者から外されて、教授が筆頭著者になったという。
大学院生の訴えを受けて学内に設置した審査委員会が調査して盗用と判断し、昨年9月に処分を決めた。教授の不服申し立てを受けて再審査したが、決定は変わらなかった。
教授側は、大学院生の未発表論文には作成段階から深く関与していたほか、修正論文の執筆時には大学院生が体調を崩して入院するなどして通学していなかったと主張。昨年12月、大学を相手取り、処分の無効確認や慰謝料を求める訴訟を金沢地裁に起こした。
大学は、19日で再不服申し立ての期限が切れたとして、20日に発表した。福森義宏副学長は「係争中なので詳細なコメントは避けるが、本人の了解を得ずに著者から大学院生を外したことは重大な問題だ」と指摘した。
発表の時期が処分決定から7カ月以上過ぎたことについては「重大な案件なので慎重を期した。今後は早期に発表できるように検討したい」と話した。(樋口大二)