女子中学生2人転落事故 第三者委、いじめと認定/鶴ケ島

女子中学生2人転落事故 第三者委、いじめと認定/鶴ケ島
埼玉新聞 2015年3月16日 23時7分配信

 鶴ケ島市立西中学校で女子生徒2人が昨年3月と4月、相次いで校舎から転落し、重傷を負った事故で、いじめを含めた事故の背景などを検証している第三者調査機関「いじめ問題調査審議会」(会長・渡辺祐樹弁護士)は16日、調査報告書をまとめ、市教育委員会に答申した。3月の事故について、審議会は友達グループ内で女子生徒に行われた「距離を置く」行為をいじめと認定し、原因になったと指摘した。4月の事故は保護者の供述や女子生徒から聴取ができていないことなどから、「いじめの事実は認定できない」と結論付けた。

 報告書によると、3月の女子生徒は友達グループの同級生2人にたびたび感情をぶつけたり、冷たい態度などを取っていたが、我慢できなくなり距離を置くことを決めた2人に昨年3月11日、「一緒に居られない」と告げられてショックを受け、同月17日に校舎4階から飛び降りた。

 友人2人は女子生徒にいじめをしたという認識はないものの、いじめ防止対策推進法では「行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じていること」をいじめと定義しており、審議会は2人の距離を置く行為は女子生徒が「仲間外れされたとして苦痛を感じた」と認定した。

 4月の女子生徒については、保護者から「自分を通してほしい」と言われていたことから、直接の聴取ができなかった。ただ、事故直後、女子生徒が駆け付けた救急隊員に「身体測定が嫌だった」と話しており、保護者からの聞き取りでもいじめに関わる供述はなかった。

 このため審議会は「いじめの事実は認定できない」とするとともに、3月の事故と「関連性はない」と結論付けた。

 学校側の対応については「3月の事故は友達同士の軋轢(あつれき)によって生じた仲間内のトラブルが原因で、いじめと確認できなかったことはやむを得ない」とする一方、昨年7月に生徒に実施した「いじめに関するアンケート」は、設問などから「時期や内容は不適切」と指摘した。

 今後の市教委の取り組みとして(1)小学6年生と保護者へ中学生活や進学に関する説明会(2)中学生にいじめの定義や防止、対処方法などを授業で説明(3)教諭や生徒らがリボンをつけるなどいじめ防止に意識的に取り組む姿勢が視覚的に感じられる環境づくり―の実施を提言した。

 報告書を受けて、鶴ケ島市の浅子藤郎教育長は「不適切な対応など報告書の指摘をしっかり受け止め、いじめの防止と発見ができるように、子どもたちには、いじめがどんなものかを指導するとともに、臨時校長会を開いて、事故が発生した時に提言の措置ができるようにしたい」と話した。

 事故は昨年3月17日午前、当時2年生の女子生徒(14)が校舎4階トイレの窓から飛び降り、両脚や腰などを骨折。4月14日午前には、当時3年生の女子生徒(14)が校舎2階トイレの窓から飛び降り、重傷を負った。市教委は昨年6月、審議会を設置、事故原因の調査を諮問していた。

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