「事件」が起きたのは、中3の2月。体育の授業を終えて、教室に戻った茉奈が見たものは……。
土足で踏みつけられた制服、机には油性ペンで《死ね。学校、来るな》の文字、ノートの全ページに《死ね、ブス、バカ》の落書き。帰りに下駄箱に行くと、靴に濡れた泥が詰められていた。
理恵は担任に、きちんと対応するように迫った。すぐ学年集会が開かれた。
「佐伯茉奈さんの机やノートに落書きをした人は誰ですか? 手を挙げなさい!」
学校からの報告は「犯人は、わかりませんでした」。
放置され続けたいじめが、卒業文集から茉奈だけを省くという、卑劣な行為にエスカレートした。夫妻は茉奈に言った。
「学校と闘うよ。これは許しちゃだめだから」
茉奈は頷いた。翌朝、理恵は担任に電話をした。
「卒業文集の寄せ書きに、茉奈が入っていません。きちんと調査をしてください」