止まらぬ県教職員わいせつ 目立つ教え子被害(愛知)

止まらぬ県教職員わいせつ 目立つ教え子被害
中日新聞 2015年9月21日

 わいせつ行為による教職員の不祥事が相次ぎ、中でも教え子が被害に遭う事案が目立っている。県教委は今月、若手教職員向けの研修を拡充したり、児童生徒向けの相談窓口を全校に設けたりする対策を打ち出した。しかし「最後は職業倫理の問題」との指摘もあり、教職員一人一人が子どもとの向き合い方を真剣に考える以外に被害をなくす方法はなさそうだ。

 「自制心の欠如、油断、不注意で、時として、あなたの家族、信用、収入…全てを失います」。県教委は教職員向けの「不祥事防止啓発資料」で自戒を促してきた。だが、わいせつ問題を起こして学校を去る教職員は、むしろ増えつつある。

 二〇一四年度に懲戒処分を受けた教職員は二十四人いたが、このうち、わいせつ事案は十四人。最も重い免職に限れば、過去最多の十人中九人をわいせつ事案が占めた。一五年度も既に五人の教諭や実習助手が懲戒処分を受けている。

 県教委の八月の記者会見。の懲戒免職を発表し、「不祥事の根絶を図っていく」と啓発資料の活用など従来の対策を例に説明したが、「対策の実効性が出ていないのでは」との質問を浴びた。溝口正己管理部長は言葉に詰まった。「そう言われてしまうと、あれなんですが…」

 県教委側にも危機感はある。わいせつ問題に主眼を置いた解決策を探ろうと五月から、精神科医や民間企業の人事担当者ら七人による有識者会議「教員の不祥事防止対策プロジェクトチーム」(PT)を中心に検討。事案を洗い直すと、二つの傾向が浮かんだ。この五年間に懲戒処分となった六十一人を対象に調べると▽六割が三十五歳以下、五割が採用後十年以下の若手▽過半数の三十一人の事案は教え子が被害者−だった。

 PTの提言を受けて県教委が今月まとめた対策は、(1)若手や教職を目指す学生の研修、教育の拡充(2)自校の児童生徒との接し方に関する指導、啓発の拡充(3)セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)の相談窓口の設置(4)セクハラや男女交際に関する啓発資料の配布−が柱だ。

 ただ、(3)と(4)は児童生徒が対象で、不祥事対策に子どもたちを巻き込む形ともいえる。教職員課の担当者は「教職員への働き掛けだけでは立ち行かない面がある」と事態の深刻さを認めつつ、「広い意味で子どもたちの人権意識を高める効果もある」と説明する。

 PTで特に問題になったのは、安全であるはずの学校という「閉鎖的な空間」を悪用した教え子に対するわいせつ行為だ。

 「感情がわき上がらないよう、心にふたをして生きてきた」。高校時代、妻子ある教諭と性的関係を持ったある女性は、卒業から十年以上たった今も「軽はずみだった」と苦しんでいる。「教諭と生徒は、大人と子ども。決して対等な関係ではなかった」

 どうすれば教え子の被害を防げるのか。この女性は「健全な学校生活を思い描き、子どもの人生や個性を大切にする。そういう教師としての愛情が教育現場で共有されていれば、簡単に裏切ることはできないはず」と話している。

(赤川肇)

以下、この約一年間での愛知県の主だった記事

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする