司法試験漏えいの元教授、交際女性の涙に「娘のように思ってしまった」
スポーツ報知 2015年12月10日 12時51分配信
今年の司法試験で、教え子だった受験生の20代女性に問題を漏えいしたとして、国家公務員法違反の罪に問われた明大法科大学院の元教授・青柳幸一被告(67)の初公判が10日、東京地裁(野澤晃一裁判官)で開かれた。検察側は懲役1年を求刑し、即日結審した。
起訴状などによると、青柳被告は今年の2〜5月にかけて、元教え子の女性に今年度の司法試験の憲法分野の試験問題を事前に何度も見せ、さらに正誤を教えたり添削した。濃紺のスーツ姿の青柳被告は、起訴事実について「間違いありません」と早口で認めた。
冒頭陳述などによると、青柳被告は学生として自身のゼミに所属していた女性と、2013年ごろから交際を開始。昨年3月に卒業した後も、交際を続けていた。
被告人質問では、女性との交際のきっかけについて「聴講生として私の授業に来た時は印象がなかったが、ゼミに所属してからは元気で明るくて『こんな子が自分の娘ならいいな』と思った」。女性は昨年の司法試験で不合格だったが「研究室では『来年も頑張ろう』と話していたが、その後に一緒に食事に行ったら泣かれてしまった。それを見て、娘が泣いているみたいで(合格させたいと思った)…」と説明した。また、女性から「試験問題を教えてほしい」との働きかけは一切無かったとした。
青柳被告は「交際をしていたから、問題を教えた訳ではない」と強調したが、裁判官は「でも、あなたは娘として女性と付き合っていた訳ではないでしょう? 言っていることが、ちぐはぐなのでは」と指摘。その言葉には「いや、娘として…」と繰り返したが、語尾を濁し、しどろもどろだった。
検察側は「司法試験制度を根底から否定するものであると同時に、動機があまりにも愚かで犯行の内容も悪質」とし、懲役1年を求刑。青柳被告は、かみしめるように何度もうなずきながら検察官の言葉を聞いていた。判決は24日に下される。