ノ社元社員、無罪主張=高血圧薬データ不正―東京地裁
時事通信 2015年12月16日 14時48分配信
製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバンをめぐる論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(誇大広告)の罪に問われた元社員白橋伸雄被告(64)と、法人としてのノ社の初公判が16日、東京地裁(辻川靖夫裁判長)であった。
白橋被告は「相談を受けただけだ」などと述べ、無罪を主張。ノ社側も「虚偽論文の事実はない」と否認した。
検察側は冒頭陳述で、「白橋被告は臨床研究の結果によりディオバンの広告・販売戦略に多大な悪影響が出て、自らの評価の低下につながることを憂慮していた」などと指摘した。
弁護側も冒頭陳述を行い、第三者によるデータの水増しがあったなどと反論。「被告による改ざんはなかった」と述べた。
起訴状によると、白橋被告は2010〜11年、京都府立医大が実施したディオバンの臨床研究で、ディオバン以外を投与した患者の脳卒中発生数を水増しするなどデータを改ざんし、虚偽の図表を研究者に提供。海外の医療専門誌に論文を投稿させ、ディオバンの効果に関する虚偽の事実をインターネット上に公開したとされる。
白橋被告はノ社の部長だったが、大阪市立大非常勤講師の肩書で、データ解析の担当者として府立医大の研究に参加。研究チームは09〜12年、ディオバンが他の高血圧薬よりも優れているとする論文を少なくとも7本発表していた。