認知症著書で虚偽記載 兵庫医科大の主任教授、効果根拠の臨床研究「倫理委承認得た」

認知症著書で虚偽記載 兵庫医科大の主任教授、効果根拠の臨床研究「倫理委承認得た」
産経新聞 2015.12.18 17:39更新

 兵庫医科大(兵庫県西宮市)は18日、生体情報部門の西崎知之主任教授が今年出版した著書「認知症はもう怖くない」に虚偽記載があったと発表した。倫理委員会で審査も承認もしていない臨床研究を「承認を得た」と書いていた。大学は処分する方針。

 大学によると、著書では大豆や卵黄由来の成分が、認知症患者の認知機能改善に効果があると主張。患者ら310人を対象に実施した臨床研究を根拠として挙げ「平成20年に兵庫医科大学倫理委員会の承認と対象者全員の同意を得た」と記載していた。

 出版直後に読者から問い合わせを受け、6月下旬に学長が西崎氏に事情を聴くと「書き直しで誤記載が発生した。新しい版では削除した」と回答。9月に調査委員会を立ち上げて調べ、倫理委では審査も承認もしていなかったことが分かった。

 西崎氏は調査委に、兵庫県内の別の医療機関で研究を行ったと説明。調査委が問い合わせたが、その医療機関でも審査や臨床研究を行った事実は確認できなかった。臨床研究を取り上げた23年の論文にも倫理委で承認を得たという記載があり、大学は虚偽を記載したと判断した。

 大学は著書の出版や内容を把握していなかった。臨床研究のデータなどの提出を求めているが、現時点で提出されていないという。

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