ネットに根拠のない書き込み 仕手筋元代表らを風説流布容疑で追起訴 東京地検特捜部
産経新聞 2015年12月25日(金)11時48分配信
大手仕手グループ元代表らによる相場操縦事件で、東京地検特捜部は25日、株価を変動させる目的で根拠のない情報を流したなどとして、金融商品取引法違反(風説の流布、偽計)の罪で、「誠備グループ」元代表の加藤●(=日の下に高)(あきら)(74)と、長男で大阪大大学院助教の恭(たかし)(37)の両容疑者を追起訴した。
一方、同法違反(相場操縦)容疑で逮捕、処分保留で釈放した加藤被告の妻(75)については、「関与が従属的だ」として起訴猶予とした。
起訴状によると、2人は平成23年11月〜24年5月、インターネットのコラムに、旧大証1部上場の化学メーカー「新日本理化」株や、東証1部上場の商社「明和産業」株を示唆して、「今後の取り組み次第では空売りの大踏み上げ相場に発展する可能性も大いにあり得る」などと根拠のない書き込みをして株価を上昇させ、2銘柄計約756万株を計約48億円で売りつけたなどとしている。特捜部によると、加藤被告らはこれらの取引で約22億円の利益を得ていたという。
加藤被告はまた、発行済み株式総数の5%以上を保有した時点で、大量保有報告書の提出しなければならないのに、関東財務局長に提出しなかったとしている。
関係者によると、加藤被告らはコラムに「私達(たち)は天が与えてくれた恩寵(おんちょう)の中にいるのです」と書き込んで投資家らに株を手放さないよう促して値下がりを防ぎ、自身は株価が上がったところで売り抜けるなど書き込みと正反対の投資行動を取っていたという。
特捜部はこうした状況から加藤被告が虚偽の情報であると明確に認識していたと判断したもようだ。
加藤被告らは新日本理化株の取引では十数億円の損失を出していたが、その後の明和産業など3銘柄の取引では、他の投資家から多くの買い注文を出させて保有株を高値で売り抜けることに成功。最終的に約60億円の利益を得ていたとみられている。