トランプ氏“詐欺”疑惑「トランプ大学」 「不動産王が投資指南」宣伝も「ただの自慢話」

トランプ氏“詐欺”疑惑「トランプ大学」 「不動産王が投資指南」宣伝も「ただの自慢話」
産経新聞 2016年3月20日(日)18時12分配信

 【ニューヨーク=松浦肇】ドナルド・トランプ氏が創設したトランプ大学に詐欺疑惑が急浮上している。今月初め、ニューヨーク州司法長官が詐欺罪で同大の訴追を決めたためだ。被害者は全米で5千人超、被害総額は4千万ドル(約45億円)という。原告団を率いる立場のニューヨーク州は、全米の被害者に原告団に加わるように求めた。トランプ氏の選挙活動にも悪影響を与える可能性が出ている。

 「3万6千ドル以上払ったのに、教育らしい教育を受けなかった」

 ニューヨークの交通機関に勤務するゲリー・スミスさんはこう憤る。スミスさんは不動産投資に関心があり、10年ほど前にニューヨークのトランプ大に入学した。トランプ氏が設立した営利目的の同大は、「不動産王が投資指南する」がうたい文句だった。

 だが、「トランプ氏は講演で、自慢話をしただけ」(スミスさん)。同大は2010年にニューヨーク市から「大学の名称はふさわしくない」との指摘を受けて活動自粛に追い込まれ、ニューヨークとカリフォルニア州で集団訴訟を受けた。スミスさんもその原告の1人である。

 一方、トランプ氏が卒業したのは、米国を代表する大学生・大学院生向けの経営学科、ペンシルベニア大学ウォートン校。不動産投資が専攻だった。娘のイヴァンカさんも同校卒で、12年に同校の「若きリーダー賞」を授与された。

 今月初め、同校の看板教授2人が地元記者を招待した集中講義で、米国経済の肝をなす不動産市場と金融政策を教えた際のこと。参加していた記者が講義の休憩時間に、教授にこうたずねた。「米大統領選の共和予備選で、トランプ氏は首位を独走していますが、どう評価しますか?」

 教授は困った顔をすると、質問した記者のもとから足早に立ち去った。

 同校卒の関係者は、「トランプ氏へのコメントを控える暗黙の了解が校内にある」と明かす。実際、卒業生向けのニュースレターにはトランプ氏に関する記述がここ数年全くない。

 トランプ氏の数々の暴言は、実直な印象の強いウォートン校のブランドにそぐわない。しかも、トランプ氏をめぐる疑惑が影を落としているからだ。

 トランプ大は「ウォートン校に匹敵する教材を用意する」と生徒を勧誘していた。宣伝上手なトランプ氏は、見合う額の寄付をしていないのに、ウォートン校の校舎の名称を「トランプ・ホール」に変えるよう求めていたともいう。

 トランプ氏は今回の疑惑に対し、「(トランプ大の)ほとんどの学生たちは満足している」と反論している。

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