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教科書謝礼 4人に1人が採択関係者 教職員延べ3454人 文科省公表
産経新聞 2016年4月1日(金)7時55分配信
教科書会社が検定中の教科書を事前に教職員らに見せ、謝礼を渡していた問題で、文部科学省は31日、各教育委員会による調査結果を取りまとめ、公表した。平成21年度の教科書検定以降、謝礼を渡された公立学校の教職員らは延べ3454人に上り、このうち約25%に相当する延べ839人が検定終了後に採択に関与できる立場にあった。一方、各教委は議事録やヒアリングなどを通じて、特定の教科書を推薦するような言動が確認されなかったとして、「採択への影響はなかった」と結論付けた。
調査対象は、新学習指導要領に沿った内容の教科書検定が始まった21年度以降。教科書会社から謝礼を渡された教職員らで、検定終了後の採択期間中も公立学校の関係者だったのは3367人に上った。
このうち、教科書の採択に関与できる立場にあったのは、校長らで構成し教委に答申する採択地区協議会委員9人▽各教科書の特徴などを取りまとめる採択地区調査員など延べ790人▽関連資料の作成などを担当する市町村教委事務局延べ40人−だった。
関与者がいた教委が、閲覧した教科書に採択を変更したケースも約1割の計89件あった。文科省によると、通常の採択でも1割程度の採択替えが行われることはあるといい、「今回の数字が特に高いという認識はない」(同省幹部)としている。
検定中の教科書を閲覧のみした教職員らは延べ1018人。その後、採択に関与できる立場にあったのは教育長と教育委員計6人を含む延べ200人だった。
文科省は31日、今回の調査結果を踏まえ、特定の教科書会社と関係する人を調査員などに選任することは「不適当」と明記した通知を各都道府県教委に発出した。
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<教科書問題>採択にかかわる教員ら990人が検定中閲覧
毎日新聞 2016年3月31日(木)18時29分配信
教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せて謝礼を渡していた問題で、文部科学省は31日、対象となった公立小中学校の教員ら延べ4472人の中に、調査員(主に教員)ら教科書の採択(選定)にかかわる立場にあった990人が含まれていたと発表した。都道府県教委による個別の聞き取り調査などから、文科省は「採択に影響はなかった」としているが、採択の公正性に疑念を生じさせたとして、ルールの順守を求める通知を各教委に出した。
◇文科省「採択に影響なし」
最初に不正が発覚した三省堂の問題を受け、各教科書会社が今年1月、自己点検結果を文科省に報告。業界最大手の東京書籍など12社が2009〜14年度、部外者の閲覧が禁止されている検定中の教科書を約5000人に見せたと報告したため、文科省が都道府県教委に事実確認を求めていた。今回は、校長に採択権限がある国立校と私立校の教員や、既に調査済みの三省堂を除いた分を集計した。
発表によると、教科書会社が検定中の教科書を見せて意見を聞き、謝礼を支払ったのは3454人。このうち799人が、市町村教委が教科書を採択する際の参考資料を作ることが多い調査員を務めるなど、採択にかかわる立場にあった。
謝礼を伴わずに閲覧させたのは1018人で、うち調査員などは185人。採択権限がある教委の教育長や委員も計6人いた。
各教委は採択への影響の有無も調べた。別の会社の教科書から、検定中に閲覧させた会社のものに変わったケースは99件あった。しかし、調査員らから聞き取ったり、会議の議事録などを精査したりした結果、謝礼を受けた会社の教科書だけを推すような不正は確認されなかったという。
文科省は「教科書の編集や採択の裏で、教科書会社と採択に関わる教委や調査員らが関係を持っていたことは非常に遺憾。今後は疑惑の目を向けられないように公正の確保を徹底してほしい」としている。【佐々木洋、高木香奈】
◇◇教科書検定と採択◇
教科書は文部科学省の検定に合格しないと学校で使用できない。教科書会社が検定申請したものを専門家でつくる教科書検定審議会が審査し、文科相が合否を決定する。その後、公立校は所管する教育委員会が、国私立校は校長が使用する教科書を採択する。検定と採択はおおむね4年ごとで、2016年度から使用される中学校の教科書は、14年春に各社が検定申請し、15年4月に検定結果が公表された。同7〜8月に採択された。
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教員1000人が採択関与=検定教科書を閲覧後―8割に金品提供・文科省調査
時事通信 2016年3月31日(木)17時46分配信
教科書会社が検定中の教科書を校長らに見せて意見を聞き、謝礼を支払っていた問題で、文部科学省は31日、閲覧した公立学校の教員延べ1009人が採択に携わり、うち818人に金品が提供されていたとの調査結果を発表した。
閲覧させた社の教科書を新規に採択したケースは99件あったが、同省は「不正行為は確認されず、採択に影響はなかった」と判断した。
調査は1月に各社が報告した5000人超の名簿を各教育委員会に送り、教委が個々に聞き取るなどした結果をまとめた。既に退職していた人や個人が特定不能だった事例を除くと、公立の教員延べ4525人が検定中の内容を見せられており、うち3507人に謝礼などが提供された。国立・私立は計172人が閲覧した。
公立では約2割の1009人が、教科書の内容を分析する調査員や使用する本を選ぶ協議会委員などの立場で採択に関与。各教委は選定過程の議事録を調べるなどしたが、閲覧した教科書を高く評価したり、強く推薦したりといった公正性に疑義が生じる行為はなかったという。