神戸市教育委員会の「いじめ解消率100%」の欺瞞
ニュースソクラ 2016年8月8日(月)18時20分配信
いじめ報告しない現場が増える恐れ
神戸市教育委員会が2016年度の目標に「いじめ解消率100%」を掲げたことで、いじめ被害に遭った保護者などから苦情が相次ぐなど、皮肉な結果となっている。
「いじめを完全になくそうというなら良いことではないか」と思われるかもしれないが、100%解消するなど現実的ではないし不可能である。よく言われるような「いじめと悪ふざけとの境界線」も微妙なところだ。そもそもいじめ被害者の保護者が危惧するのは、「100%解消などという目標を掲げると、いじめ問題を報告しない学校が増加するのではないか」というものである。
こういう事態はおそらく必至で、過去に広島県教育委員会が「不登校生徒の解消」を数値目標で訴えたところ、いじめや教師との体罰などで長期欠席をしている生徒が「病欠扱い」にされたという事例がある。
そもそもこの、「いじめ解消率100%」は神戸市教育委員会事務局指導部指導課が中心になって提起されたものだ。この部署は殆どが指導主事と呼ばれる教員出身者の職員で構成されている。これが曲者なのである。彼らは校長・教頭などの管理職として学校現場に異動する立場の人間で、学校現場とはズブズブの関係にある。教員不祥事が全国の中で多い神戸市(過去幾度も政令指定都市で処分者ワースト1位になっている)にとっては子供のイジメを撲滅することを掲げることでお茶を濁そうと魂胆があるのではないかということだ。
現に教育評論家などの間では、「いじめより教員不祥事の方が教育委員会の責任所在を問われるので隠ぺいする傾向が強い」とよく言われる。
現に教員の服務規律を担当する神戸市教育委員会事務局の元教職員課長によると、
「指導課に教員不祥事の相談が来ていても、指導主事が教員を庇って教職員課に報告しないケースがよくあった」と証言している。
つまり「いじめ解消率100%」は、指導主事が中心になったパフォーマンス的スローガンの可能性があると思われるわけだが、現在神戸市の教育委員であり、かつて指導部長・課長、学校長なども経験した経歴を持つ森本純夫氏は、「(『いじめ解消率100%』を)指導部や指導主事が主に取り組んできたテーマというのは事実や。そやけど、教員不祥事から眼を逸らすパフォーマンスという意図とはちゃうで」と話すが、どう考えても非現実的な目標数値であるし、下手をすれば「本校にいじめはない」と言っていじめの存在を見て見ぬふりをする学校現場も増加するのではないかと懸念される。
■角田 裕育(ジャーナリスト)
1978年神戸市生まれ。大阪のコミュニティ紙記者を経て、2001年からフリー。労働問題・教育問題を得手としている。著書に『セブン−イレブンの真実』(日新報道)『教育委員会の真実』など。