<ウィッツ高>学校法人化拒む 管理強化嫌い
毎日新聞 2016年10月2日 7時40分配信
三重県伊賀市のウィッツ青山学園高校を巡る就学支援金詐欺事件で、同高が2012〜13年に学校法人化を目指したものの、詐欺容疑で逮捕された同高の広域通信制サポート校「四谷LETSキャンパス」(廃止)の実質経営者、馬場正彦容疑者(56)らの反対で断念したことが分かった。同高関係者は、馬場容疑者が法人化でキャンパスの管理が強化されることを避けようとしたとみており、「株式会社立にとどまったことが事件につながった」と指摘している。
同高は国の構造改革特区制度を利用した株式会社立の学校として05年に開校した。全日制と通信制の二つの課程があり、全国40〜50カ所に通信制のサポート校が設置された。
関係者によると、四谷キャンパスによる不適切な勧誘などが問題になり、12年12月に全国のキャンパス代表らが集まって学校法人化すべきか協議した。法人化すると補助金を受けやすくなり、法人税も優遇されるほか、意思決定機関として設立される理事会が中心となってキャンパスの質を一律に保てる利点があるとして、いったんは法人化で意見がまとまった。
しかし、この方針に馬場容疑者ら関係者が反対。同高の親会社も「学校法人になると資産を寄付する必要があり、設立に寄与した株主にも利益が還元できなくなる」などとして反対したため、13年に断念が決まったという。
逮捕前の取材に対し、馬場容疑者は学校法人化すべきでない理由を「自由な教育が制限され各キャンパスの独自性がなくなりかねない」と説明した。これに対して同高関係者は「馬場容疑者はキャンパス経営の自由度が高い株式会社立の特徴を悪用し、不正な勧誘で生徒を集めて利益を追求した」と指摘している。
馬場容疑者は、高卒者や就学実態のない生徒13人分の支援金244万円をだまし取った疑いで東京地検特捜部に逮捕された。
関係者によると、当初は逮捕容疑を否定していたが、その後の調べに「高卒者は支援金の受給資格がないことを知っていた」と一部認める供述をしているという。特捜部は勾留期限の4日に起訴する見通し。【飯田憲、石山絵歩】