<補助金不正>家族名義を悪用、籠池夫妻「専任教員」と偽る

<補助金不正>家族名義を悪用、籠池夫妻「専任教員」と偽る
毎日新聞 2017/8/22(火) 15:00配信

 学校法人「森友学園」が運営する塚本幼稚園(大阪市)を巡る補助金詐欺事件で、再逮捕された前理事長の籠池泰典(64)と妻諄子(じゅんこ)(60)の両容疑者が、自らを幼稚園の「専任教員」と偽り、補助金を不正受給したことが分かった。系列の保育園では幼稚園教諭だった長女を「保育士」として働いていたと偽り、長男が経営する会社を偽装工作に利用。大阪地検特捜部は、両容疑者が家族の名義をさまざまな形で悪用したとみて調べる。

 両容疑者は2011〜16年度、虚偽の書類を大阪府に提出し、幼稚園の専任教員数などに応じた補助金計約9200万円をだまし取ったなどとして、21日に詐欺と詐欺未遂容疑で再逮捕された。

 特捜部によると、16年度に幼稚園の「専任教員」として申請された14人中、5人が虚偽。このうち3人は勤務実態がなく、2人は籠池夫妻だった。籠池容疑者は幼稚園の園長と保育園の事務長を兼務。諄子容疑者は幼稚園の副園長と保育園の園長を兼ねていた。特捜部は2人が両園から報酬を得ており専任には当たらないと判断した。

 一方、府と市によると、保育園では16年12月時点で「保育士」として名簿に記載された11人中、6人が虚偽。6人とも幼稚園と名簿が重複し、このうち4人は幼稚園の専任教員だった。この中には学園の現理事長で、両容疑者の長女町浪(ちなみ)氏(32)も含まれている。残りの2人は幼稚園と保育園のいずれでも勤務実態がなかった。

 さらに、町浪氏を除く5人はいずれも長男(37)が経営する大阪市内の会社が「保育士」として派遣した形を装っていた。しかし、同社は16年3月、派遣事業に関する報告書を提出しなかったとして厚生労働省から事業廃止命令を受けている。

 長男は毎日新聞の取材に「保育園への派遣はしていない」と話し、関与を否定した。【三上健太郎、岡村崇】

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